藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第11回】Swan〜Inverted'V'(スワンから逆さVの字)-エクササイズ-

脇の下、あばら部分に「前鋸筋」という、肩の動きにとても重要な筋肉があります。この筋肉は「縮めて脇を締める」より「張って肩腕の土台となる」ことを得意としたいところです。現代の生活習慣の中で、特に女性は動きが小さく弱ってしまっていることが多いので、しっかりと動かしてあげましょう。

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両腕を「万歳」に上げて、前鋸筋がしっかり動くか確認しましょう。肩に問題のある方は、腕を下げていても構いません。脇の下を思い切り持ち上げて、思い切り下げるを繰り返します。写真のあばら部に力を感じるようにしましょう。耳の下の「僧帽筋」の方が断然「強い」と感じる人は要注意です。

011_08.jpg 前鋸筋 上げ 011_09.jpg 前鋸筋 下げ

「Swan(スワン)」

本来はうつ伏せから反る方に体を起こす「背骨の伸展」の為のエクササイズですが、今回はスワンの姿勢で肩とお尻を整えることにしましょう。写真のように腕で支えて、全身を弓なりにカーブした状態にします。
肩が弱いと「腕に体が沈む」形になります。これは腕っぷしが情けないというより「前鋸筋を張る力が弱い」ということです。腕が元々しっかりと出来る人も、わざとこの「沈む形」から脇を広げる、閉じるを繰り返してみましょう。

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次にお尻です。お尻の筋肉が「締まる専門」になっていると、腰が食い込んで腹筋が落ち、脚は広がっていきます。アラベスクで腰が広がり易い人はこのタイプです。
この姿勢では、お尻を締めても抜いても、股関節は背面に寄りながら尾骨が固まっていくので、背骨も腹筋も詰まって動きが悪くなります。股関節、大転子の骨は外に張るように。お尻は四角い風呂敷だと思って、4つの角へ最大に広げる→緩めるという感じに、腰の伸び縮みを使ってみましょう。

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「Inverted V(逆さVの字)」

腕立て伏せの姿勢からお尻を持ち上げ、逆さVの字の形になります。ポイントは背筋をまっすぐに、肩と股関節を支点に姿勢を変えます。パンシェの練習にもなります。
やはり肩甲骨やお尻は、動きの中で内線に寄ってきます。そうなると背骨が陥没したり突き出したりして、上体のラインがバラけてしまいます。前鋸筋と大転子を外に張り、肩甲骨やお尻は「元の位置から動かない」強さを磨きましょう。
慣れてきたら片足を上げて、パンシェの動きを加えましょう。片足が上がっても、両ポケットは「外に張る」です!

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>>> 【第11回】バレエのポジションと背中のイメージ

(イラスト:あゆお /写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。