藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第11回】バレエのポジションと背中のイメージ

「肩甲骨とお尻ポケット」

以前登場した「肩に入る力第5回参照)」と「アルデンテお尻第4回参照)」を複合して考えます。
背筋を伸ばす上で、「背中を広げる」という方が「背中を締める」というより適切なのは、誰もが感じるはずですね。肩やお尻へのイメージをしっかり持って、「よく動く背骨」から全身の流れを整えましょう。

まずは背骨ラインに縦線を一本引いて、左右対称に肩甲骨が2枚、お尻ポケットが2枚の、4つの正方形が並んでいるとします。

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肩もお尻も力が入ると、自然に内線に向かって締まる傾向があり、意図的に「もっと力を入れる」と、腕や脚を背中に向けて「短くなるように引く」という形を取ってしまい、背骨の動きを束縛してしまいます。この使い方が主に「肩こり」や「腰痛」の原因となったりもします。
これら4つの正方形は外線「わきの下と横ポケット」ラインへ張り、下線を広げるように。すなわち下外側の角を広く保つように意識しましょう。これで腕や脚、もちろん背骨も「長く伸び出る」方向性を持ち、「横隔膜や骨盤底筋ラインを広げる」という感覚は「コアを上手に使う第9回参照)」ことに繋がります。

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「1〜5番のバレエポジション」


両足でポジションを決めて立ったときの、「考えるべきポイント」をお伝えします。結論から述べますと全てのポジションで「使い方」は同じです。ただ脚を「並列に並べる」1、2番と「交差させる」4、5番の違いで、少しだけ注意点があります。

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「内ももを締める。とは?」

レッスン時に受ける注意としてかなり頻出するこの「内ももを締めて〜!」ですが、果たして何がどう締まればいいのでしょうか?単純に左右の腿を挟むようにギュッと締めれば、確かに内腿も硬くなっている。しかしこの硬い内腿は、実は付け根に向けて強く引く力によるもので、脚を短くしながら動かないように固めている、と考えて下さい。内腿も「床に向けて伸ばす。地面を押す」ことが大事です。

踵へ対するイメージが変わると、内腿の締まり方も変化します。写真で確認してください。四角い角に踵を詰め込もうとすると、内腿は硬く短く。丸い角の底に押し込もうとすると、長く伸びようとする力。すなわち「地面を押す力」へと変わります。4、5番の交差ポジションでは更に深く押し込む必要があります。

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そしてこちらは前回のカーフライズ(第10回参照)でも少し触れたのですが、プリエもタンジュも何でも、脚を動かすときは「すね→もも」の順で。太ももはその強さ故に、その場でグッと短く締まるので、周りを固めてでも「持ち上がろう」とします。写真のラインを意識して、すね→ももの順の「すももルール」で脚を動かしてみてください。脚は張って、長く動いてくれるでしょう。

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今回のポイントをまとめてみます。
 肩、お尻は四角の外隅に張る→伸び動く腕脚
 大転子下部の外ももから締める。内もも、すねは下げる。


ポジションは固めて止めるものではなく、動きを出すためのものとして意識してください。

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>>> エクササイズ[ 11 ] 「Swan〜Inverted’V’(スワンから逆さVの字)」

(イラスト:あゆお / 写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。