藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第9回】Chest Lift(チェストリフト)-エクササイズ-

まさに「腹筋」というエクササイズですが、やり方によっては表の腹直筋が筋金入りのガチガチになってしまいます。やはり奥の腹横筋を「しならせる」感覚を高めましょう。

「Chest Lift」

仰向けで立て膝、またはテーブルトップに脚を浮かせます。
両腕は体側で伸ばす、または後頭部に組みます。
息を吸って準備。深く吐きながら上体を起こす、または寝かせます。

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今回は「表の筋肉を程良く柔らかく」そして「インナーマッスルを張る、動かす」という目的なので、どこかがカチカチになっていないか確認する方法をお伝えします。
まずは「胸骨&鎖骨」ですが、体を起こした時はもちろん、寝ている時にも喉に向かって「寄って上がって」いませんか?肋骨を傘でイメージしましたが、胸骨が締まっていくと肩は上がり、外肋間筋がカチカチになって腹筋の動きを悪くしてしまいます。胸骨はみぞおちに向かって広げるようにしましょう。

次に骨盤ですが、こちらも頑張ると「締まって上がる」力が自然に入ります。特に横ポケットに位置する大転子がギュッと締まっていると、骨盤自体が固まって「浮き上がろう」としますから、腹筋が起きることを邪魔してしまいます。横ポケットは真横、真外に広げて、地面に重く引き込むようにしてみましょう。

肋骨の屋根と骨盤の土台をお互いから引き離すように。あとは胴体の奥にある円柱状のスポンジ、すなわち腹横筋を「しならせる」ように動きましょう。

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「One side Chest Lift」

体を半身だけ起こして、腹斜筋を「捻る」動きを加えます。片方の腕を真っ直ぐ天井に向け、反対は床に置きます。息を吸いながら、天井向きの腕を肩ごと持ち上げて、頭も浮かせて床の方の腕の先に目線を向けます。息を吐きながらゆっくり肩と頭を寝かせます。
注意点は先ほどと同じく胸骨と骨盤。体が上手に捻れたら、体内の筒をイメージして、中身だけもう少し捻れていく、と想像してみましょう。膝が離れて脚に力が入りすぎていないか注意してみましょう。

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腰を痛めている患者に「腹筋を鍛えましょう」と言われることがあります。あれは「奥の腹筋をしっかりさせて、背骨のサポートを丈夫にしましょう」ということです。表の腹筋を鍛え過ぎてしまうと、表面でガチガチになり、次の動きで背骨にもっと大きな負担を与えてしまいます。しっかりとインナーマッスルを意識して、コアから全身を改善するように目指しましょう。

 


>>> 【第9回】すべては体幹(コア)にあり!

(写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。