藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第9回】すべては体幹(コア)にあり!

今回はいよいよ、カラダ講座で一番重要になる「腹筋部(コア)」の扱い方に迫ります。「腹筋を締める、使う、引き上げる」など色々聞いたり感じたりするところはあると思いますが、腹筋の仕組みを理解して、体の要(かなめ)となるコアを作りましょう!

「腹筋」は3重の腹巻き「腹直筋、腹斜筋、腹横筋」からなり、一番奥に位置する「腹横筋」が今回の主役となる「インナーマッスル」になります。

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「力を入れても締まらないベルト」

絵で見ても分かるように、腹横筋は横軸の「帯またはコルセット」のような形状なので、おへそのラインでベルトを締めるように力を入れれば良い、という考えが浮かぶと思います。しかしこのおへその辺りで「締める」という意識は表の腹直、腹斜筋が「固まる」という形になり、奥の腹横筋は「何もできない」となります。以前も述べたように「インナーマッスルとは、表の筋肉が程良く緩んでいるときにしっかり動くもの」です。腹横筋が紙を巻いた円柱、表の腹筋が帯だとイメージします。帯を強く締めると紙筒はグシャっとなり使えない状態に。なので、帯を程良く締めて、紙筒は「内から張る」という感覚を目指して下さい。

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「横隔膜と骨盤底筋」

ベルトの横軸の次は、お部屋の縦幅です。横隔膜の屋根骨盤底筋の床に挟まれたお部屋の中で、その手足を伸ばして頑張りたいのが腹横筋です。

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「横隔膜は引き上げる」「骨盤底筋は締める」と、世間ではよく聞く言葉だと思いますが、これらは奥の奥にある正真正銘のインナーマッスルでして、「(短く)締める」という意識自体がほぼ適応しません。胃袋を縮めてみましょう、というようなものです。
これらの深層筋は「ネット」のようなもので、「張って使うもの」と僕は考えています。

骨盤底筋はその形状を理解するよりもイメージを大事にしましょう。「骨盤という器」のそこに、「骨盤底筋というネット」が張ってあるとします。骨盤が広がればネットはピンと張り、締まって小さくなればフニャリと弛む、ということです。腹筋はこの上に「立って」上体を押し上げるので、踏み台となる骨盤底筋はしっかりする必要があります。
また「お尻を締める」ということは「股関節を縮める、骨盤を固める」ということになり、骨盤底筋は張りを失い、腹筋との繋がりが感じにくくなるので注意しましょう。

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横隔膜も骨盤底筋とイメージは同じなのですが、上下が逆なので「上げ過ぎない」注意が必要です。
肋骨には表面と内面で、外肋間筋内肋間筋があります。外はシャッターを開ける、内はシャッターを降ろす役割なのですが、人は自然と「外肋間筋」で肋骨の開閉をしてしまいます。「内肋間筋」で内から広げ、静かに閉じる感覚を身に付けましょう。ポイントは「胸骨」が上がっているか、下がっているかです。

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体幹部(腹筋)は屋根と底を広げて、部屋を大きくしてあげることで「よく動く状態」となります。やはり呼吸が浅いと横隔膜まで動きが届かず、肩に力が入ってしまうので、骨盤の底まで膨らませるほどの深い呼吸を心がけましょう。

 


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(イラスト:あゆお / 写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。