藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第6回】アンデオールのすすめ~前編~

「バレエを踊る時は、両足を180度に開く=アンデオール」というのは周知の事実。
しかしこの不自然な立ち方、脚の回し方を的確に教わっていないのに、「もう少し脚を外に向けて」と言われ続けているのではないでしょうか?
この奥が深いアンデオール=脚の外旋を2回に渡ってお伝えしたいと思います。

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「何をどう回すのか?」

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今回は脚にある3つの関節「股関節、膝、足首」の扱い方をお伝えします。
両足パラレルで立ったとき、つま先と膝のお皿が前を向いていて、腿と脛が大体まっすぐであれば正しいライン。つま先は外に向いているのに膝は内向きだったりすれば、歪んだ脚であると、誰にでも一目でわかると思います。
そしてこのつま先と膝が同じ向きの「正しいライン」は、脚を外に向けたアンデオールでも、揃っていた方がいいのです。

これら3つの関節は:
足首 =ねじらない
膝  =ねじらない
股関節=回す、というより回される


というのが理想になります。

 

1510_01.jpg 良い脚のライン 1510_02.jpg 外脚 1510_03.jpg O脚

「真の膝を知る」

バレエの動きすべてに対して役に立つ「意識するべき本当の膝の位置」をお話します。
「膝を触ってみてください。」と言えば、誰でも膝のお皿を触ります。しかしそのお皿の裏にある骨の出っ張りは「腿の骨の下部」に当たります。この腿膝を意識しての、曲げる、上げる、回すなどのアクションは、すべて前腿の筋肉が原動力で行われます。
膝関節とは、腿と脛の骨の結合部に当たるので、脛骨の頂上部も膝なんです。この「脛膝」を真の膝として意識できれば、アンデオールはもちろん、今後紹介していく様々なテクニックが向上していきます。

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「膝の回転」

膝を境に上下で分けて、「脛の形をした土台」に「腿の形をした置物」が乗っているとします。脛土台は床に固定してあって、腿置物は持ち上げられないほどの重さです。
腿置物を根元で持って、突然90度回転させようとするとどうなりますか?脛土台はビックリして動きについていけず、「ねじれ」が発生します
逆に脛土台の上部を持って回すとどうでしょう?土台は普通に回したい方向に回って、その上に乗っている腿置物は一緒に回るはずです。
脛土台をビニールで包んで、腿置物を回したときに入る「ビニールのしわ」を想像すると、筋肉のねじれがよく分かると思います。
要するに、腿膝でもって腿を回すのでなく、脛膝でもって脛を回すと、上手なアンデオールに近づきます。

 

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「足先をよそに向けない」

足首は基本「ねじらずに」、アンデオールの作業の中で「回そう」という意識を全く入れていないのが理想です。
内外のくるぶしが、かかとの骨に乗ったシーソーだとして、このシーソーはつま先の向きを少し変えようと思っただけで、簡単に傾くようにできています。

1510_07.jpg 写真(1) 1510_8.jpg 写真(2) 1510_09.jpg 写真(3)

内外のくるぶしから床までの距離が、体全体の一番下にある「柱」とします。写真①と③のように、くるぶしシーソーがねじれて傾く状態を作ると、その柱は内外で高さが変わってくるので、斜めの土台に家を建てることになります。そうなると脚の内外ライン、腹筋背筋に至っても、わざわざ力を込めて、曲がった家を建てる努力をする結果となります。
バレエをしている人は写真①が正しいと思いがちですが、やはり足先は「まっすぐに」の方が体にもいいですし、上手に魅せるときれいなのですよ。
 

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僕が脛の手術をしてリハビリをしたとき、最初に教わったのがこの「アンデオールでの関節ラインの乱れを直す」でした。1番ポジションを両足合わせて90度以下にして、つま先と膝の向きを揃えるところから再スタートです。
皆さんも足元を無理矢理180度に開くのではなく、自分にあった角度にアンデオールして、徐々に変化していく脚を楽しめるようにしましょう。

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>>> エクササイズ[ 6 ] 「Bent Knee Fallout(ベントニーフォールアウト)」

(イラスト:あゆお / 写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。