藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第4回】アルデンテお尻

ポールドブラで体を傾けても、脚を持ち上げても、まず第一にグッと締まるお尻。それでもお尻が抜けていたら「もっとお尻を締めて!」と注意されてしまいます。
上体と下半身を結ぶ、大事な中央交差点「お尻」の上手な締め方を考えてみましょう。

「お尻ポケットのラインで考える」

お尻をただ締めるといっても、どこをどう締めるかによって形も体への影響も変わってきます。
ジーンズの後ろに2つ付いている「お尻ポケット」をイメージして、様々な締め方パターンを見ていきましょう。

1508_01.jpg ●ポケットの入口=上段・仙骨ライン
●真ん中辺り  =中段・尾骨ライン
●ポケットの底 =下段・坐骨ライン

上段を強く寄せると、基本的にお尻は腰に向かって締め上がります。しっぽがあれば、突き立てるような感じです。肉や皮が腰部に詰め上がり、動きを固める緊張が生じるので、反り腰や腰痛の原因に繋がります。
下段を強く締めるとお尻は下向きに固まって下がります。しっぽはお尻の割れ目に押し込む感じです。こちらは裏ももが強く縛られて動きを封じられてしまうので、脚は前横後ろ全ての向きに上がりにくくなってしまいます。
いずれにせよ、お尻の表面がカチカチになるほど力を入れてしまうと、その上下に並ぶ腰や脚もカチカチになり、「頑張って動かそう」というよりは「動かさない!」という姿勢になってしまいます。

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上段・仙骨締め 下段・坐骨締め

「表ふっくら、中しっかりのアルデンテお尻」

お尻は中心に向けて力を入れると「締まる、固まる」。ならば中心ラインを緩めて「張る、広げる」と考えてみてはいかがでしょう。上下段の仙骨と坐骨は、同じくらいの感覚で広げて、尾骨はそこだけ穴が開いたようにフワフワと保ちます。これはお尻を後方に観音開きにして休んでいるわけではなく、スライド式のドアを真横ラインに張って広げようとする力です。
上手くいけば、表の大臀筋はプニプニと柔らかく、一層奥の中臀筋や外転筋群はしっかりと股関節を操ってくれる「アルデンテお尻」の出来上がりです。

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「骨盤を横に広げる引き上げ」

背骨から上はひまわり、仙骨は植木鉢。それが腸骨の土台で支えられていると想像して下さい。仙骨と腸骨の繋がり目を仙腸関節といいます。
関節の幅は狭く、動きもほとんどないのですが、その狭間を細く詰めようとするか、太く広げようとするかで、お尻もその他全身の状態も大きく変化します。
お尻の割れ目、中心線へ向かって強く締めると、植木鉢は土台に食い込み、腰も股関節も沈むように締まります。
逆に仙腸関節を横軸で広げようとすると、股関節は脚が長くなる方へ広がり、植木鉢もひまわりも昇ろうとする力となります。

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踊るのはもちろん、立つ、歩く、重い荷物を持ち上げるなど、様々な動きの中で「お尻」は一番最初に力を入れてきます。そんなお尻を骨盤ベルトのように更に強く締めてかかると、やはり股関節全体は動きにくくなると思います。
脚をアンデオールにきれいに開く。脚を高く上げても体は歪まないなど「アルデンテお尻」を上手に扱うと、踊りは益々楽しくなりますよ。

 

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>>> エクササイズ[ 4 ] 「Bridging(ブリッジング)」

(イラスト:あゆお / 写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。