荒部 好

『マイ・ベスト・セレクション』

 ドイツの三つのバレエ団の代表的ダンサーが、お気に入りの舞台を披露して、コメントを付するDVD『マイ・ベスト・セレクション』が発売される。

 まずは、ミュンヘン・バレエの名花、ルシア・ラカッラが登場する。シリル・ピエールと『白鳥の湖』のパ・ド・ドゥを踊り、さらに、美しいヴァリエーションも見せてくれる。白鳥の化身のようなラカッラの踊りを、DVD桟敷のロイヤル・シートで存分にみることができる。『椿姫』のパ・ド・ドゥもシリル・ピエールと踊っている。カニパルディのショパンの曲を使った気品のある振付である。

 ドイツ国立ベルリン・バレエの芸術監督、ウラジーミル・マラーホフは3曲踊っている。マクミラン振付『マノン』(音楽マスネー)の父への手紙を書いているデ・グリューとマノンが戯れるシーンを、ディアナ・ヴィシニョーワと踊る。ウィーンのレナート・ツァネラの『旅』(モーツァルトほか)はソロ。ロシアを出た直後に踊った、マラーホフにとって忘れられない作品に違いない。そして、ナジャ・サイダコーワとフォーキン振付の『薔薇の精』(音楽ウェーバー)。マラーホフの柔軟で繊細な感覚が漲る跳躍が素晴らしい。

 ウヴェ・ショルツが芸術監督を務めるライプチヒ・バレエの日本人ダンサー、木村規予香が登場。ウヴェ作品から、バッハのカンタータ(ソロ)とモーツァルトのピアノ・コンチェルト(パ・ド・ドゥ)、ブルックナーの交響曲第8番(パ・ド・ドゥ)の抜粋を踊っている。振付するウヴェも少しだけ映っていて、木村はウヴェの肌理濃やかな音楽性を称える。
 ドイツのバレエの今日の最前線で活躍しているダンサーが、インタビューに答え、好きな舞台を披露する見応え充分のDVDである。


『マイ・ベスト・セレクション』
約80分
TDKコア株式会社
\4,410
(本体価格¥4,200)
2004年10月27日発売予定