荒部 好

『Ballerina』

 去る8月末から9月初めにかけて行われた<ボリショイ・バレエ&マリインスキー・バレエ合同ガラ>は、まさに圧巻の舞台だった。
 ロシア・バレエといえば、ニジンスキー、ヌレエフ、バリシニコフに代表される男性ダンサーのスター性もさることながら、バブロワ、カルサヴィナ、マカロワといったプリマ・バレリーナは、やはり世界でもっとも魅力的、と言わざるをえないだろう。
 今、名前を挙げたダンサー6人は、すべてマリインスキー劇場の出身ということになる

 そして、今回とりあげたDVD、『Ballerina』は、マリインスキー劇場バレエ団で現在、活躍しているプリマ、スヴェトラーナ・ザハロワ、ディアナ・ヴィシニョーワ、ウリヤーナ・ロパートキナと、次の世代を背負って活躍していくと思われるアリーナ・ソーモア、エフゲーニヤ・オブラスツォーワの、マリインスキー劇場とパリ・オペラ座やアメリカでの動きを追ったドキュメンタリー。
 ワガノワ舞踊アカデミーを卒業して、マリインスキー劇場バレエに入団し、ソリストとなって役をつかむまでの気持ちや、プリンシパル・ダンサーとして過酷な現実に耐えながら新しいバレリーナのイメージを模索する姿、怪我や出産に直面し、困難を乗り越えてダンサーとしての完成を目指す様子が描かれている。

 彼女たちの技術的な努力にももちろん頭が下がるが、次の目標に向かって果敢に進んでいくように自身に命じる精神的な逞しさに感服する。
 天与の才は、美しく努力するものにだけ与えられるのだはないか、そんな思いにもとらわれていしまう。
 フランスとロシアのバレエ界に精通している、マニュエル・ルグリが、ロシアのバレリーナについて語っているコメントが興味深かった。


出演:スヴェトラーナ・ザハロワ
ディアナ・ヴィシニョーワ
ウリヤーナ・ロパートキナ
エフゲーニャ・オブラスツォーワ
アリーナ・ソーモワ ほか

『Ballerina』
マリインスキー・バレエのミューズたち
TDK
4,410円(本体価格4200円)