荒部 好

『ニコラ・ル・リッシュ プラス・スタニスラフ』

このDVDは、パリ・オペラ座のエトワールとして、今、もっとも活躍しているダンサー、ニコラ・ル・リッシュが、フランス国立振付センター=ロレーヌ・バレエ団に、『RVB21』を振付けていく様子を捉えたドキュメンタリーである。21分の『RVB21』の舞台そのものも収録されている。
 ロレーヌ・バレエ団の前身は、バレエ・フランセ・ド・ナンシーという名称で、パトリック・デュポンが芸術監督をつとめていた頃には来日公演も行ったこともある。デュポンの後は、この欄でも紹介している『ラ・シルフィード』を復元したピエール・ラコットが芸術監督に就任したが、現在はまた代わっている。(ちなみにル・リッシュは、ラコットが『ラ・シルフィード』を復元初演した1972年生まれである)
 ル・リッッシュは、オペラ座バレエの栄光を担う堂々たるエトワールで、ローラン・プティやイリ・キリアン、ウィリアム・フォーサイスなどの、時代を代表するような振付家が、競うようにして彼に作品を振付けている。しかし、ル・リッシュがダンス作品を振付けるのは、今回が初めてである。
 ル・リッシュが、ロレーヌ・バレエ団のダンサーたちに振付けていく姿は、自分のこころにじつに素直に耳を傾けていることが感じられる。ダンサーたちも、この世界の檜舞台で活躍する大物ダンサーの言葉を聞き漏らすまいと、熱心に作品創りに打ち込んでいる。なかなかいい雰囲気がスタジオに満ちていて、好感が持てるドキュメンタリーである。
『RVB21』とは、Rouge(赤)、Vert(緑)、Bleu(青)のイニシアルに、作品の上演時間の21分を付けたもの。


『ニコラ・ル・リッシュプラス・スタニスラフ』
ドキュメンタリー
4,935円 (本体価格4,700円)