荒部 好

『若者と死』

 
 熊川哲也とダーシー・バッセルが踊った『若者と死』のDVDが刊行された。
『若者と死』という作品については、同封の解説書や特典映像のインタビュー(熊川、バッセル、プティ、ボニノ)で種々語られている。この作品については、舞踊の歴史の中でも最も重要な作品のひとつであることに異論はあまりないのではないか。
特典映像の中のインタビューでは、創作者自身であるローラン・プティが作品の成り立ちについて貴重な証言を行っているので、ぜひ観ていただきたいと思う。
ダンスの映像では、熊川の隙のない完璧な動きがまさに圧巻である。若者の思い詰めた、枯渇しつつある「生」を必死で追い求める凝縮した心理を、鋭く造形している。
熊川はインタビューで、死に至る過程を踊っていて恐怖を感じた、といったことを語っているが、絶望と若さはまさに表裏一体となっていることが、熊川の凄絶なダンスから見てとることができるだろう。
バッセルもプロポーションを生かして見事な演技を見せている。バッセルの黄色衣裳を纏った運命の女と、立ち尽くす熊川の若者はじつに微妙なしかし鮮烈な印象を残している。
初演からおよそ50年の時を経て、この傑作バレエは熊川とバッセルのダンスを通して、さらに新しい輝きを見せてくれているのである。

 
 

『若者と死』

音楽/J.S.バッハ
バレエ創作/ローラン・プティ
ストーリー/ジャン・コクトー
装置/ジョルジュ・ワケヴィッチ
出演/熊川哲也、ダーシー・バッセル


発売元:TBS
¥8,190 (本体価格¥7,800)