『ラ・シルフィード』全2幕

 2月に来日公演を終えたばかりのパリ・オペラ座の新星、マチュー・ガニオが踊った『ラ・シルフィード』のDVDが、パリにさきがけて発売された。昨年、パリ・オペラ座のガルニエで収録された映像である。

マチュー・ガニオは、よく知られているように、1984年、ロ-ラン・プティのミューズだったドミニク・カルフーニと、やはりプティ・バレエ団のプリンシパルだったデニス・ガニオの間に、マルセイユで生れた。両親から授かった才能を遺憾なく発揮し、オペラ座バレエ学校からとんとん拍子に出世して、昨年5月20日、『ドン・キホーテ』のバジルを踊って、一階級とばしてエトワールになってしまった。

私は、マチューがまだ3歳の頃、プティ振付の『マ・パヴロワ』に出演した----といっても可愛いピエロの衣裳で、主演のカルフーニ・ママに抱かれて登場しただけだが、喝采をあびていた----バルセロナのリセオ劇場の舞台を観ている。若く活力溢れ、輝くばかりの若き日マチューの映像を見て、時の過ぎ去るあまりの早さにいささかの感慨に耽らざるを得ない。

マチューはまばゆいばかりの青春の唯中にいる不安と喜びを、のびやかに踊っている。3歳の頃から既に観衆の拍手を受けていただけあって、堂々としたものである。多少荒削りではあるが、力強くしっかりとした踊りだった。

オーレリー・デュポンはマチューよりおよそ10歳ほど年長。妖精シルフィードを軽ろやかに、マリー・タリオーニの古い版画から抜け出したように踊っている。
第一幕の見せ場は、シルフィードの見えるジェームスと見えないエフィと、シルフィードがからんで踊るシーンである。マチューとユレルもきちんと踊っているが、軽く重力を感じさせず、鮮やかにジェームスの視界から消えたり、すっと姿を現したりして、やはり、オーレリーが舞台を創っている。
ロマンティック・バレエの美しさを今に伝える素敵な映像である。


原振付/フィリッポ・タリオーニ
振付/ピエール・ラコット
音楽/J.M.シュナイツホーファー
出演/オーレリー・デュポン、マチュー・ガニオ、メラニー・ユレル

『ラ・シルフィード』
(全2幕)107分
発売元:TDKコア
\5,040 (本体価格\4,800)