荒部 好

『シルヴィア』パリ・オペラ座

 パリ・オペラ座バレエ団が踊るノイマイヤー版の『シルヴィア』は、素晴らしいキャスティングで見事な作品に仕上がっている。それはもちろん、言うまでも無いことではあるが、ノイマイヤーの振付とディレクションが当を得ているからでもある。ギリシャ神話の人物を描きながらモダンなポップアート風の装置と、簡潔なしかし象徴性を感じさせる衣装、そして軽快でちょっとコミカルな振付によって、たいへん瀟洒な、ドリープの音楽がいっそう印象的なバレエを創った。

 物語は、シルヴィアとアミンタの愛に、つぎつぎと変身する愛の神アムールや女神ディアナがからんで展開していく。春の森と夏の舞踏会そして冬の森と背景も、シルヴィアとアミンタの愛の流れに沿って変化している。

 しかしやはり素晴らしいのはオペラ座のエトワールたちである。シルヴィアに扮したオーレリ・デュポンとアミンタのマニュエル・ルグリの出会いと愛の交歓のシーン、シルヴィアのデュポンがアムールの変身したオリオンに扮したニコラ・ル・リッシュと踊って、愛の目覚めを意識するシーン、マリ=アニエス・ジロのディアナがジョゼ・マルティネスのエンディミオンに想いを寄せるシーン、そしてラストのシルヴィアとアミンタの別れのシーン、とパ・ド・ドゥの名場面だけをあげても一級品ばかりである。特に、ディアナに扮したアニエス・ジロが美しい。意外とと言っては失礼なのかもしれないが、端正な踊りの中にはっとするような母性的な美を感じさせる、たいへん魅力的なエトワールである。



 

振付/ジョン・ノイマイヤー
音楽/レオ・ドリーブ
美術/ヤニス・ココス
指揮/ポール・コネリー
演奏/パリ・オペラ座管弦楽団

シルヴィア/オーレリ・デュポン
アミンタ/マニュエル・ルグリ
アムール、ティルシス、オリオン/ニコラ・ル・リッシュ
ディアナ/マリ=アニエス.ジロ
エンディミオン/ジョゼ・マルティネス

『シルヴィア』
TDKコア
¥5,040 (本体価格¥4,800)