荒部 好

『ジゼル』キーロフ・バレエ

 冒頭はレニングラード・シアターとテロップが入るが、パステルブルーのマリインスキー劇場の映像である。劇場の名前が変わってもその佇まいや客席の様子、クラシック・バレエを楽しみに来る観客たちの活き活きとした表情はまったく変わりがない。キーロフ劇場オーケストラを指揮するのは、過日亡くなったヴィクトール・フェドートフである。

 ガリーナ・メゼンツェワが踊る『ジゼル』である。最近はメゼンツェワのことが語られることも少なくなったが、70年代から80年代にかけて活躍したキーロフ・バレエの大スターである。特にロマンティック・バレエの役に優れ、細やかで的確な感情表現、見事なプロポーションと驚異的な柔軟性で良く知られていた。
 時代は異なるが、クラシック・バレエを盛んに踊っていた頃のギエムにも匹敵するバレリーナだった。
 とりわけジゼルは、彼女の最も得意とする役でたいへんに評価が高かった。
 その後メゼンツェワは旧ソ連を離れ、スコティッシュ・バレエやアメリカなどでも踊っている。
 ここに収められた舞台でも、メゼンツェワは申し分のないジゼルを踊って、余韻を残した素晴らしい作品に仕上げ、盛んに喝采を浴びている。



音楽/アドルフ・アダン、改訂振付/マリウス・プティパ
演出/オレグ・ヴィノグラードフ
出演/ガリーナ・メゼンツェワ、コンスタンチン・ザクリンスキー キーロフ・バレエ
『ジゼル』
ワーナーミュージックジャパン
¥4,900 (本体価格¥4,667 )