荒部 好

『ジゼル』英国ロイヤル・バレエ

 プティパの振付に基づいて、ピーター・ライトが一部に振付を加えて演出した、英国ロイヤル・バレエ団最新の『ジゼル』。ストーリー・テリングの名手らしく、ピーター・ライトの演出はほんとうに細やかな配慮が行き届いていて、農民の国に迷い込んできたような貴族のアルブレヒトと村の娘ジゼルの恋の表情が、じつに活き活きと描かれている。
ジゼルは、ヒラリオンなどの村の男とはまったく異なった貴族的な佇まいに惹かれる。そのちょっとした戸惑いを秘めた気持ちを、コジョカルが見事にダンスの動き中に表している。
2幕ではジゼルは、傷ついたアルブレヒトの魂を優しく愛おしみながら、ウィリの女王ミルタの指示に背いても自身の愛をも貫く。そこに男性が思い描く<理想の女性像>が、自ずと浮かび上がっている。
ここでは、アルブレヒトに扮したコポーもまた、現実の恋愛を超越するかのような心情を込めたダンスを見せる。
演劇の国、英国らしく、明快でドラマティックな表現で描いた『ジゼル』の、たいへん感動的な舞台である。




 

 英国ロイヤル・バレエ『ジゼル』
振付/マリウス・プティパ
演出/ピーター・ライト
音楽/アドルフ・アダン

ジゼル/アリーナ・コジョカル
アルブレヒト/ヨハン・コポー
ヒラリオン/マルティン・ハーヴェイ
ミルタ/マリアネラ・ヌニェス

英国ロイヤル・バレエ2006
『ジゼル』
(全2幕・ライト版)
5,040円 (本体価格:4,800円)
クリエイティヴ・コア