荒部 好

『こうもり』ミラノ・スカラ座

 ローラン・プティの『こうもり』は、1979年、彼が芸術監督を務めていたマルセイユ・バレエ団によってモンテカルロ・オペラ座で初演された。妻ベラをジジ・ジャンメール、夫ヨハンをデニス・ガニオ、友人ウルリックをルイジ・ボニノが踊った。

『こうもり』は、よく知られているように、ワルツ王と讃えられたヨハン・シュトラウス二世が創ったウィンナ・オペレッタである。19世紀末のウィーンの、しばしばシャンパンのアワに例えられるバブル華やかなりし時代を背景に、モーツァツトの『フィガロの結婚』の19世紀版ともいわれる、変身をキーにした軽妙な物語が展開する舞台である。

プティは、その華麗で雅びやかなメロディが流れるウィンナ・オペレッタを自在にアレンジして、洒脱なエスプリを利かせたパリ風味のディナーに仕上げた。賞味するのは20世紀の観客たちだから、結婚という男と女の関係のあり方を素材にして、プティならではの包丁捌きを披瀝している。
以前にプティ率いるマルセイユ・バレエ団の来日公演で上演されたこともあったが、2002年に新国立劇場で、このDVDに収められたミラノ・スカラ座と同じフェリ、ムル、ボニノが踊り、以後レパートリーとなって抜粋版がしばしば上演されている。


 

アレッサンドラ・フェリ、マッシモ・ムル、ルイジ・ボニノ
ミラノ・スカラ座バレエ団

『こうもり』全2幕
発売元:TDKコア
\5,040 (本体価格\4,800)