(荒部 好)

「ウラジーミル・マラーホフ〜『ラ・バヤデール』の舞台裏〜」

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マラーホフが振付けた『ラ・バヤデール』全幕のリハーサルや本番の映像、ロングインタビューなどを収録したDVDが刊行された。
全体は3部構成になっていて、第1部ではマラーホフが『ラ・バヤデール』を新たに振付けるにあたって、どのような改訂を加えたか、ということを様々な事例やダンスを見せながら解説している。
たとえば、ガムザッティのヴァリエーションを思いついたのは、バカンスに行っていたイビサ島のヌーディスト・ビーチだったが、動きを確かめようとしていきなり踊り出して、周囲の人々に訝られた、とか、ワルツは自身がコレクションしているミニドールを配置しながら考えた、などといったおもしろいエピソードが語られている。
本番のライブ映像を見せて、マラーホフが解説する場面では、具体的なストーリー解釈の説明がある。
マラーホフ版『ラ・バヤデール』はソロルの立場を尊重して演出されていて、ニキヤが毒蛇に咬まれる花かごの中には、ソロルの「2人で逃げよう」という手紙が入れられていたが、実際には蛇に入れ替えられてしまった。とか、黄金の仏像の踊りは、ソロルの祈りから生まれたヴィジョンだとか、4幕のニキヤの魂とソロルの交流も理にかなった解釈がなされていておもしろい。
第2部では、マラーホフのロングインタビューが、「6つのヴァリエーション」として構成されている。特に、バレエを習い始めた幼い頃のこと、モスクワに出てから母との別れを経験したこと、それから日本についても、気に入ったファッションを買うことができるし、自分にぴったりと合う国、などと語っていて興味深い。
第3部は、ニキヤを踊るポリーナ・セミオノワのリハーサルを指導するシーン。
ベルリン国立バレエ団の芸術監督として、『ラ・バヤデール』の振付家として、世界のスターダンサーとしてのマラーホフのたいへん多忙だが、じつに充実している日々を描いたドキュメンタリーである。

出演/ウラジーミル・マラーホフ、ディアナ・ヴィシニョーワ、ポリーナ・セミオノワ、ベアトリス・クノップ他
2005年ドイツ制作 67分 日本語字幕付
コロンビアミュージックエンタテインメント 刊
4,725円(税込)