(荒部 好)

『シンデレラ』全3幕 パリ・オペラ座バレエ

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シルヴィ・ギエムが初々しいシンデレラを踊り、ヌレエフ自身もプロデューサー役で踊ったことでよく知られるパリ・オペラ座バレエ団のヌレエフ版『シンデレラ』が、新たにDVDとなって刊行された。
ヌレエフの振付は、正確には演出・振付というべきだろうが、この物語の舞台設定をおとぎ話の国から黄金時代のハリウッドに変えている。そのためカボチャの馬車の替わりにスーパーカーが登場したり、王子の花嫁選びが映画スターの相手役のオーディションだったりするが、プロコフィエフの音楽の解釈自体を転換しているわけではない。むしろ、ミラクルの代名詞のように語られるシンデレラ的現象の背景を代えることによって、かえって <シンデレラ的な愛>をより強調する狙いがあったと思われる。
ヌレエフの振付に特徴的な華麗な技巧を散りばめて、プロコフィエフの音楽の曲調の戯画的な表現をより強く表し、義母や義姉たちを描いている。これをコメディと言うのかどうかは分からないが、コミカルに描いていることは間違いない。

シンデレラにはアニエス・ルテステュが扮しているが、オリジナルキャストのシルヴィ・ギエムとはまた異なった雰囲気。映画スター役のジョゼ・マルティネスも、義姉の役のレティシア・プジョル、ステファニー・ロンベールもさすがにパリ・オペラ座バレエ団のダンサーらしい演技力とダンスをみせている。

また、「シンデレラ、ハリウッドに行く」という60分もの特典映像が付いていて、このバレエの主要キャストと、美術を担当したペトリカ・イオネスコ、パリ・オペラ座の舞踊監督ブリジット・ルフェーブルが舞台裏を解説している。

シャルル・ペローの童話に基づく
振付/ルドルフ・ヌレエフ
音楽/セルゲイ・プロコフィエフ
美術/パトリカ・イオネスコ
衣裳/森英恵
照明/グイード・レヴィ
コーエン・ケッセル指揮、パリ・オペラ座オーケストラ
2008年4月 パリ・オペラ座ガルニエ宮で収録

キャスト
シンデレラ/アニエス・ルテステュ
映画スター/ジョゼ・マルティネス
継母/ステファン・ファヴォラン
義姉/レティシア・プジョル、ステファニー・ロンベール
プロデューサー/ウィルフリード・ロモリ
ダンス教師/クリストフ・デュケンヌ
四季の妖精/メラニー・ユレル、ドロテ・ジルベール、ノンウェン・ダニエル、エミリー・コゼット
パリ・オペラ座バレエ団

コロムビアミュージック ¥5,040(税込)