(荒部 好)

『白鳥の湖』英国ロイヤル・バレエ団 ダウエル版 全4幕

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英国ロイヤル・バレエ団の『白鳥の湖』は、原典のプティパ、イワノフに伝統的に忠実に創られている。したがってゴールスキー版やセルゲイエフ版などを継承しているヴァージョンと異なって、基本的に道化は登場しない。
このダウエル版もアメリカのハーバード大学に保存されているステパノフ式の舞踊譜に、再度立ち戻って演出されたものだが、アシュトンやビントレーにより追加された振付けは生かしている。家庭教師と友人ベンノによって、結婚による青春への決別を躊躇するジークフリート王子の内面が、若さと老いのコントラストを見せながら語られていく。
このあたりでは、シェイクスピアの国のもっとも得意とするストーリー・テリングをじっくりと見せる。

オデット/オディールを踊るのはアルゼンチン出身のマリアネラ・ヌニュス。ジークフリートを踊るのはブラジル出身のディアゴ・ソアレス。南米出身のカップルが英国ロイヤル・バレエ団でそろって『白鳥の湖』の主役を踊る、というのも-珍しいことではないだろうか。しかし、南米出身のカップルらしくうちに秘めた情熱の激しさが、手にとるように伝わってくる演技とダンスである。
また、第1幕の冒頭で踊られるパ・ド・トロワでは、崔由姫の姿も見ることができる。

美術はK バレエ カンパニーの舞台でもお馴染みとなったヨランダ・ソナベント。時代設定をチャイコフスキーの生きていた時代とし、ロシアの有名な宝石店ファベルジェの宝飾品などのデザインからヒントを得て美術・衣裳をデザインした、と言う。
英国ロイヤル・バレエ団らしい、荘重な雰囲気が漂うドラマティックな『白鳥の湖』である。

英国ロイヤル・バレエ団『白鳥の湖』
¥5,040(税込)
日本コロムビア株式会社