(荒部 好)

『タンゴ・リブレ〜君を想う』TANGO LIBRE

フレデリック・フォンテーヌ監督
フランソワ・ダミアン、セルジ・ロペス、ジャン・アムネッケル、アンヌ・ハウリスヴィック、チチョ・フルンボリ、パブロ・テグリ

タンゴは19世紀末、アルゼンチンのブエノスアイレスやウルグアイのモンテビデオなどで、キューバのハバネラやワルツやポルカあるいはアフリカの音楽などに影響を受けて生まれた。当初はその地の移民たちが持って行き場のない欲求に任せて、男同士で踊っていた、ともいわれる。
『タンゴ・リブレ』は、そんな本来のタンゴに宿るスピリットが現代の人々の中で目覚めたかのような映画だった。

平凡な人生を送っていた刑務所の中年の看守が、ある日、タンゴ・ダンスの教室で出会った女性と踊る。すると翌日その女性は子供を連れて、看守の務める刑務所の面会所に現れる。そして二人の男と濃厚な感情のこもった短い時間を過ごす。看守は、囚われている二人の男は彼女の夫と愛人と知り、その自由奔放な生き方に激しい刺激を受ける。夫は彼女が看守とタンゴの教室で会っていると知ると、猛烈に嫉妬し、刑務所内のアルゼンチン人にタンゴを教えてくれ、と迫る。それが切っ掛けとなって刑務所の中ではタンゴが大流行する。さらに長い刑期に絶望していた彼女の愛人は、自殺をはかる・・・そして息子を含めた5人の愛憎が深く激しく絡まり合い、留まることなくドラマは意想外の展開へと進行していく・・・・
刑期を務めているタンゴの名人のアルゼンチン人が、囚われている人々の前でタンゴを披露すると、みんな次第に魅了され、ついには大勢の男同士が獄中で踊りあかすようになる。タンゴ本来のスピリットの虜になってしまったのだ。
二人の男を愛していた女性は看守の強い愛を感じとり、看守と囚人の妻というタブーを超えて、やがてただならぬ中になっていく・・・。
平凡な日常の中で唯一の楽しみとして通っていたタンゴ教室に、突如、タンゴ本来のスピリットが降臨し、彼らの情念のとびらを押し開けたようなドラマが展開する。油断ならない魅力を秘めた映画だった。

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(C)ARTEMIS PRODUCTIONS - SAMSA FILM - LIAISON CINEMATOGRAPHIQUE – NORD-OUEST FILMS – MINDS MEET – RTBF

第69回ベネチュア国際映画祭 審査員特別賞、第28回ワルシャワ国際映画祭 グランプリ受賞
『タンゴ・リブレ 君を想う』

(C)ARTEMIS PRODUCTIONS - SAMSA FILM - LIAISON CINEMATOGRAPHIQUE – NORD-OUEST FILMS – MINDS MEET – RTBF
配給:ファインフィルムズ

2013年9月28日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー