(荒部 好)

『バレエボーイズ』

バレエの青春映画として公開前から評判の『バレエボーイズ』を観た。ノルウェーはオスロ市の淡いブルーに光り輝くオペラハウス。海にそそり立つ氷河の山塊をイメージして設計されたという文化施設を舞台に、バレエダンサーを目指す3人の少年の青春の夢と葛藤を描くドキュメンタリー映画だ。

ルーカス、シーヴェルト、トルゲールの3人は、ともにバレエダンサーとして舞台で活躍したい、という夢を抱いてバレエの練習に励んでいる14歳の少年。更衣室では、たわいなくふざけ合い、お互いを強く意識しながら励まし合い、女の子のサポートではわけもなく照れる。連日続くバレエの練習は厳しいが、踊ることにより、一番充実している自分を実感しているのだ。
しかしいくら踊ることが楽しくても、バレエダンサーとして生きていけるかどうかは全くの未知数である。

1508main.jpg

そして彼らは、「将来はどうするの?」という、若きバレエ少年にはどうしても避けられない問題の直面する。息子の将来を心配する両親。慎重に進路の選択を迫る教師。
シーヴェルトはバレエダンサーの道を一旦あきらめようとするが、どうしても止められず、再び仲間のもとに戻る。「きっと戻ると思った」と温かく向かえる仲間。
彼らにとって、オスロ国立芸術アカデミー(KHIO)へ入学を許されることが、その第1歩を踏み出すために最も必要なのだ。そのためにもフランス・グラース国際バレコンクール、スウェーデン・ファルーン北欧バレエコンクールに参加する。そして3人とも厳しい審査を経て、見事、KHIOへの入学が決まる。
そこへ、ルーカス宛に英国ロイヤル・バレエ・スクールからオーディションの招待状が届いた! 3人の中でルーカスに最初の試練が訪れた。オーディションに受かったとしても高い学費と生活費、言葉の問題、才能を信じられるのかなどなど。15歳少年の肩には少し重過ぎる課題が課せられた・・・。

14歳から15歳の少年たちの抱く夢と、それに邁進するための多くの課題がプレッシャーとなる。しかし、明るく踊って、踊ることに中に自分を見出していくドラマが、じつに初々しく描かれている。パートナーの少女と、熱く密着する母親と、静かに見詰める父親と、冷静になれと諭す教師と、そしてライバルでもある同じ夢を抱く少年たちと接する彼らの反応が初々しく魅力に溢れている。われわれにもこんな時代があったのだったと、青春を懐かしむ心が温かくなる映画だ。
ヘンリク・スクラムとゴラン・オバドの音楽がテンポ良く、青春の息吹きをじつに心地良く伝えてくれる。

1508_sub.jpg

2015年8月29日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほか、全国順次公開
http://www.uplink.co.jp/balletboys/

監 督:ケネス・エルヴェバック
出 演:ルーカス・ビヨルンボー・ブレンツロド、シーヴェルト・ロレンツ・ガルシア、トルゲール・ルンド
編 集:クリストファー・ヘイエ
音 楽:ヘンリク・スクラム
原 題:Balletgutene(2014/ノルウェー/75分/16:9/デジタル)
配給・宣伝:アップリンク