関口 紘一

『Maiko ふたたびの白鳥』

監督/オセ・スベンハイム・ドリブネス
出演/西野 麻衣子

映画『バレエボーイズ』の舞台となったノルウェーの海に面して光り輝く、現代的なデザインのオペラハウスは、ご記憶の方も多いと思う。ここを拠点とするノルウェー国立バレエ団には、西野麻衣子という大阪出身の日本人のプリンシパル・ダンサーがいる。英国のロイヤル・バレエ・スクールから、19歳でノルウェー国立バレエ団に入団。2005年には彼女は東洋人として初めてプリンパル・ダンサーとなった。
この映画『Maiko ふたたびの白鳥』は、ノルウェー国立バレエ団の日本人プリマ、西野麻衣子が、カンパニーのトップの座を維持しつつ、男の子を出産。そして『白鳥の湖』のオデット/オディールを踊って見事に復帰するまでに密着し、女性映画監督の繊細な目を通して映像化した優れたドキュメンタリー・フィルムである。

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バレエダンサーの麻衣子が妊娠を知ってから、自身の決断、夫のニコライ(オペラハウスの映像・音響監督)との話し合い、尊敬する母への報告とその助言、新しいバレエ芸術監督や他のダンサーたちへ告知、新たなゲスト・ダンサーとの出会いなどなどが、サスペンスドラマのようにつぎつぎと展開する。そこには、働きながら3人の子供を育てた「自慢のママ」との厳しいやりとり、夫の優しいいたわりの言葉、そして妊娠を知ったカンパニーの仲間たちの心からの祝福の言葉など感動的なシーンが随所に見られた。
クライマックスは、『白鳥の湖』のオデット/オディールという難しい役で、妊娠中からも厳しい訓練を重ねるが、リハーサルでは納得する結果が得られない。特に最大の見せ場32回転のグラン・フェッテが決まらない・・・という状況で迎えた本番初日の舞台映像である。

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カンパニーのトップの女性ダンサーが出産し復帰を果たすまでの長く過酷な時間を支えたのは、もちろんバレエダンサー、麻衣子の素晴らしい努力だったが、北欧ノルウェーの働く女性への支援体制もまた大きく貢献している。妊娠中のケアや出産費用は一切無料で、子供も歯科を含め医療費が無料。そして夫婦合わせて10か月の育児休暇を取らなくてはならないと法律で義務づけられている、という。
最近はママさんバレリーナも増えてきたし、アレッサンドラ・フェリのように二人の子供を育てながら、バレリーナとして復帰を遂げた、というニュースも聞かれた。日本にもママさんバレリーナがもっともっと活躍する日が来るように、願いたいものである。

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Maiko ふたたびの白鳥

配 給:ハピネット/ミモザフィルムズ
2016年2月20日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、
YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー

2015年/ドキュメンタリー/ノルウェー/70分/英語、ノルウェー語、日本語/カラー/DCP
監 督:オセ・スベンハイム・ドリブネス
出 演:西野麻衣子、西野衣津栄、ノルウェー国立バレエ団 ほか
音 楽:ノルウェー国立オペラ管弦楽団
英 題:Maiko:Dancing Child 字幕:西村美須寿
提 供:ハピネット 配給:ハピネット、ミモザフィルムズ
宣 伝:ミモザフィルムズ 宣伝協力:アティカス、ブラウニー
後 援:ノルウェー王国大使館
協 賛:チャコット、シルビア
www.maiko-movie.com