(荒部 好)

『バレエに生きる〜パリ・オペラ座のふたり〜』Une Vie de Ballets

オペラ座のダンサー、振付家として活躍し、失われつつあったロマンティック・バレエの復活に大きな力を発揮したピエール・ラコット。その妻としてオペラ座のエトワールとして優れた舞台を残したギレーヌ・テスマー。ともにバレエに生きた夫妻の60年間を辿るドキュメンタリーが完成し、ロードショー公開される。

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ギレーヌ・テスマーは1970年代の世界バレエフェスティバルに来日し、『ラ・シルフィード』のパ・ド・ドゥほかを踊っている。しかしやはり、テスマーといったら夫君のピエール・ラコットがテレビ番組用に復元し、後にオペラ座のレパートリーとなった『ラ・シルフィード』だろう。ここではミカエル・ドナール(ジェイムズ)とシルフィ−ド役を踊った。当時、一般の観客がバレエ・ブランの本格的な全幕物に接する機会は希だったのでたいへん貴重な映像だった。
この映画の中にも抜粋で収録されているが、ジェイムズが魔女のマッジに騙されて、シルフィードを捕まえようとスカーフをかけると息絶える。テスマーのシルフィードがじつに見事に繊細に動き、絶え入るかように演技と踊りで儚くも息絶えていく‥‥。
ラコットはこの『ラ・シルフィード』を復元して認められオペラ座に迎えられて成功を収める。それはもちろん、ギレーヌ・テスマーという良き伴侶の協力を得たからだろう。そしてラコットは次々と失われた古典バレエの復元を手掛ける。ボリショイ・バレエには『ファラオの娘』、マリインスキー劇場には『オンディーヌ』、パリ・オペラ座には『パキータ』というふうに。
いちばん直近では、日本のエトワール・ガラで世界初演された『三銃士』(音楽ミッシェル・ルグラン)だから、ご記憶の方も多いだろう。
この映画にはじつにそまざまな貴重映像が登場するが、状態は悪いがコロン劇場の『ラレ・シルフィード』や若き日のラコットが踊るさまざまな作品などを見ることができる。また『マルコ・スパダ』のヌレエフ、『パキータ』のルグリ、『オンディーヌ』のサラファーノフ、『三銃士』のエイマンなど超一流の男性ダンサーの絢爛たるステップが様々なシーンで次々と見られることは素晴らしい。それぞれのダンサーたちの超絶的ステップのニュアンスの違いをまざまざと感じとることができるからである。監督は『マチュー・ガニオ&カルフーニ〜2人のエトワール』のマレーネ・イヨネスコ。

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『バレエに生きる ~パリ・オペラ座のふたり~』

出演:ピエール・ラコット、ギレーヌ・テスマー、ルドルフ・ヌレエフ、エリザペット・プラテール、マチュー・ガニオ、マニュエル・ルグリ、アニエス・ルテステュ、オーレリー・デュポン、マリ=アニエス・ジロー、ドロテ・ジルベール他
2011年/フランス/フランス語/ 95分

© 2011 Delange Productions – Wide Management - all rights reserved. 配給:アルシネテラン

2012年9月18日(土)、Bunkamuraル・シネマ、ほか全国順次公開