荒部 好

『笑うブロードウェイ』

アル・ハーシュフェルド/著 大平和登/訳
  アルバート・ハーシュフェルド、通称アル・ハーシュフェルドは、ブロードウェイを描き続けた著名な風刺画家である。1903年に生れたハーシェフェルドは、1927年以来ずっと、ショウビズの世界の風刺画をニューヨークタイムズ紙に描き続け、とりわけニューヨーカーたちに愛されてきた。

  ひと口にショウビズといっても舞台からバックステージ、幕間、投資家たち、プロデューサーなど様々な表情を持つ。この『笑うブロードウェイ』には、そうしたショウビズに精通したハーシュフェルドの研ぎ澄まされた目が捉えた、ブロードウェイの生態が鮮やかに描かれている。

  劇場、プロデューサー、劇作家、演出家、エージェント、デザイナー、投資家(エンジェル)オーディション、役者のオーディション、リハーサル、地方都市の初日、ニューヨークの初日、スケッチ集の12章に分けて、機知に富んだユーモアで縦横無尽に描く文章は、彼の風刺画のタッチそのもの。独特の鋭い警句も的を得ていて思わず感心させられてしまう。

  スケッチ集の中には、メイ・ウェストやエセル・マーマン、リリアン・ギッシュ、ジョン・ギールグッド、オーソン・ウエルズなども登場していて興味を惹かれる。ハーシュフェルドの風刺画のタッチは、日本の浮世絵とりわけ北斎に影響を受けたという。彼自身も浮世絵のコレクターだそうだ。

  ちなみに『笑うブロードウェイ』の原題は、『アニーよ銃をとれ』でエセル・マーマンが歌って大ヒットした「THERE'S NO BUSINESS LIKE SHOW BUSINESS(ショウほど素敵な商売はない)」をもじった「SHOW BUSINESUS IS NO BUSINESS」である。



「笑うブロードウェイ」
著者: アル・ハーシュフェルド
訳  : 大平和登
発行: 小学館
価格: 本体1,942円(税抜)