荒部 好

『ブロードウェイ 夢と戦いの日々』

高良結香/著

 2006年、16年ぶりに再演されたブロードウェイ・ミュージカルの名作『コーラスライン』に、唯ひとりの日本人、高良結香が出演。世界中から集まった3000人のダンサーが競った『コーラスライン』のオーディションを戦い抜いて、彼女はついにコニー・ウォン役を射止める。この凄絶なオーディションのドキュメンタリーは、『ブロードウェイ♪ブロードウェイ』という映画となって、日本でもロードショーされたばかり。

 沖縄出身の高良結香は、母親の薦めでオキナワ・クリスチャン・スクール・インターナショナルに入学。卒業するまで英語とクラシック・バレエをしっかり学んだ。卒業後、単身渡米。ダンス学科があるシェナンドア・ユニバーシティに入学。
厳しいアルバイトに耐えながら、音楽とダンス修行に打ち込む。
そして、ほとんど可能な限りのオーディションを受け、次第に『フラワー・ドラム・ソング』『マンマ・ミーア』『RENT』などに出演するようになる。その間のブロードウェイで働くミージカル・ダンサーの実態が、活き活きと手にとるように伝わってくる。オーディションのクレバーな受け方、細部にわたる契約書、エージェントについて、さらにユニオンのことなど、実際に体験してみなければ絶対に分からない貴重なレポートが綴られている。
アメリカン・ドリームをもたらす競争社会の厳しい現実が小説を読むよりもおもしろいし、もし、これからブロードウェイを目指すダンサーがいたら、これほど参考になる一冊はないだろう。



   

『ブロードウェイ
夢と戦いの日々』
高良結香/著
ランダムハウス講談社 刊
1,260円(本体価格1,200円)