荒部 好

『Ballet Stories』

バーバラ・ニューマン著 茉莉あんげりか 訳ジム・トムリン画
 ダーシー・バッセルがバレエ名作ストーリーを紹介する『Ballet Stories』をご存知だろうか。大型の絵本で、まるで華やかなクラシック・バレエの舞台を観ているような雰囲気の感じられる装丁である。

『眠れる森の美女』『ジゼル』『コッペリア』『白鳥の湖』『くるみ割り人形』の五つの名作バレエのストーリーが紹介されている。『眠れる森の美女』では「オーロラの洗礼式」「運命の日」「まぼろし」「目覚め」「オーロラの結婚」という具合に、それぞれの幕の名場面を見開きの絵で見せ、そこで踊られるさまざまの要素を写真やイラストを使って解説している。

 たとえば、「オーロラの結婚」の見開きの絵の回りには、このシーンの音楽や青い鳥について(青い鳥を踊る熊川哲也の小さな写真を掲載)、パ・ド・ドゥのクライマックスのポーズ「フィッシュ・ダイブ」、着ぐるみとマスクなどについてイラストや写真入りのミニ解説が書かれている。さらに絵の中にも、鑑賞のポイントとなるいくつかの部分に説明書きが付けられている。「フロリナ王女は、自分を導いてくれる青い鳥の鳴き声に耳を澄まします」とか「白い猫と長靴をはいた猫は、パ・ド・シャ(猫のパ)をくりかえします」といった文章で、短いけれどなかなか要所をついていて役に立ってくれる。何回も観てよく理解しているつもりの作品でも、改めてこうした鑑賞のポイントを読んでみると、忘れてしまったことや見逃していたことに気づかされることもある。そのほかにも、絵入りで解説する「バレエの基礎知識」や「バレエ専門用語一覧」も収められている。

 クラシック・バレエの鑑賞の手引きとしては非常によくできた一冊である。もちろん、子供にも親しみ易く平易な文章で書かれている。
 著者は、ニューヨーク出身のバレエ評論家で、英国BBCラジオのロシア・バレエについての台本も執筆しているというバーバラ・ニューマン。

ダーシー・バッセルが紹介する『Ballet Stories』
バーバラ・ニューマン著
茉莉あんげりか 訳
ジム・トムリン画
文園社刊
¥2,940  (本体価格¥2,800)