荒部 好

『SWAN ---白鳥--- 愛蔵版 』全12巻完結

有吉京子
 昨年このコーナーでも紹介した、『SWAN--白鳥--愛蔵版』が毎月順調に刊行を続け、遂に完結した。
 全12巻をそろえて眺めてみると、ラメ入りの装丁が品のよいゴージャスさと不思議な質感を醸し出している。中を開いて読み進むと、白く上質な紙と有吉京子独特の繊細な線がしっくりと溶け合い、まずはあらためて、絵の美しさに魅了される。文庫を読みなれた目からするとハイビジョンに生まれ変わったような大迫力の画面は、ストーリをも際立たせ、まるで今生まれた物語のようなフレッシュさで読むものを引き込む。
 今回の出版は5回目ということだが、この愛蔵版を読み直すことで『SWAN--白鳥--』という作品の新たな魅力を再発見できる愛蔵版になっている。
 作者自身もあとがきのなかで、
 “私自身が一番納得のいくいい形で出版できた本だと満足しています。”
と書き記している。刊行にあたって文章(セリフ)を細部にわたり手直ししていったそうで、
 “これでは、『SWAN 改訂版』かも……などと思ったりもしています。”
ということだから、往年のファンは前の版と読み比べて作者の心の変遷にあれこれ思いをいたらせるのも、楽しい時間ではないだろうか。
 また、12巻にわたって描き下ろしてきた番外編コミック「SWAN variation」の最終話は、主人公・真澄とレオンの結婚式の姿が描かれ、娘・まいあの誕生にいたる経緯を読者に想像させる仕上がりになっている。
 この描き下ろしを1年にわたって続けてきたことをきっかけに、『SWAN--白鳥--』が終わってから『まいあーSWAN act II』誕生までの主人公たちの物語を、“「モスクワ編」として描こうという決心へと繋がっていった” という。
 2005年にバレエ季刊誌「SWAN MAGAZINE」で、『まいあーSWAN act II』の連載を開始してから、日を追うごとに殺到したというファンの要望……。待望の「モスクワ編」が生まれる機もいよいよ熟してきた。バレエファンにとっても漫画ファンにとっても非常に喜ばしいことだ。有吉作品の新境地を期待しつつ見守りたい。



『SWAN--白鳥--愛蔵版 』
全12巻
有吉京子
平凡社
各巻 1,260円
(本体価格1,200円)