(荒部 好)

『痛快!クラシックの新常識』

許光俊 著
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慶応義塾大学教授、許光俊が書いた『痛快!クラシックの新常識』は、じつに読みやすいクラシック音楽の入門書だ。読み始めると平易な文章でおもしろおかしく綴られているので、知らず知らずに読み進んでしまう。特に奇をてらっているわけではないのだが、古今の作曲家たちの名曲とその人生の様子が軽やかにスケッチされていて、非常に興味深い。
読み進んでいくと名曲の感じどころを言葉で理解させてくれるので、それぞれの曲をもう一度聴き直してみたいと心がせいてくる。

第1章の「クラシックの常識・非常識」では、クラシック音楽がどのようにして作曲され聴かれてきたか、を読みやすく解説。第2章は「大作曲家の素顔」で、繊細で複雑な美しい音楽を創った偉大な作曲家たちを漫画家が一筆で描くように、軽やかに描写している。第3章では、25の名曲ベスト盤を紹介している。
もちろん、著名なバレエ音楽はいくつも紹介されているので、拾い読みしておくだけでも、次に舞台をみる時には何倍も楽しくバレエを鑑賞することができるだろう。
巻末には著者厳選による「シチュエーション別クラシック名曲案内」が付されているので、一部をご紹介しておこう。
・文学青年を気取るためには、モーツァルト『交響曲第四十番』
・そろそろ、お客様に帰っていただきたいときに、ハチャトゥリアン『ガイーヌ』
・自然に包まれて癒されたい人は、ブルックナー『交響曲第4、7番』
・しとしと雨のコーヒータイムは、ブラームス『ヴァイオリン・ソナタ第1番』
・昔の恋人を思い出したら、ショパン『ピアノ・ソナタ第3番』
・甘い恋を囁きたい人には、ショパン『ノクターン集』
などなど。

『痛快!クラシックの新常識』
許光俊 著
株式会社リットーミュージック 刊
定価 本体1,600円+税