新作ブロードウェイミュージカル"Groundhog Day"がオープンしました!

"Groundhog Day"

以前、ビル・マーレイ主演、アンディ・マクダウェルが相手役で出演した映画『恋はデジャ・ブ』の舞台化です。大ヒットの『マチルダ』を担当したスタッフが再び組み、期間限定でウエストエンドで上演した時、今年のオリビエ賞のベストミュージカルと主演男優賞の二つを取っています!
ストーリーも映画とほとんど同じで、天気予報士が田舎町で春の到来の時期を占う伝統的な祭事の取材から始まり、次の日、目が覚めても同じ日に戻っているという時間のループにはまってしまうお話です。
映画もロマンティックな映画と思いきや、内容を理解していくとかなり深い意味が入っていますが、舞台もそれをとてもよく分かりやすく表しています。

舞台転換のスピードが凄い! こんなに早い舞台転換を見たことがありません。それも、毎回同じ朝のシーンに戻るのですが、キャストもスタッフも一瞬の休みもないという感じです。
舞台が回るのですが、それが一つではないのです。なんと五つも盆があり、それがいろいろな展開を見せます。
夫はプロダクション側のプロップス(小道具)のチーフですが、家のセット以外は全部プロップスの仕事ということで、「プロップスの舞台」とも言われています。

(C) Joan Marcus

(C) Joan Marcus

スタッフは舞台前の準備からとても大変です。小道具は全部袖に入らないので天井にいくつか大きなベットのような箱に入って、必要な時におろして、使用後は上演中に天井に戻すそうです。
出演者たちもとても素晴らしいのですが、よくあの早い展開で、たくさんの回る盆(舞台)についていってるな、と感心します。とにかく怪我人が出ないように皆集中して神経をとがらせているみたいです。
リハーサルも激しく、1月末から夫は参加していましたが、劇場に入ってからは毎朝8時から夜10時まで、プレヴュー前は2週間お休みなしで、その後も朝8時から夜中の12時まで働いていました。もちろん夜中に終わる時はカンパニーからホテルを取ってもらっていました。

(C) Joan Marcus

(C) Joan Marcus

(C) Joan Marcus

(C) Joan Marcus

数週間プレヴュー(実際にお客さんを入れて公演します)で、観客の反応や舞台を見て演出、セリフ、歌、ダンスなどを変更したり、あるいは無くしたり追加したりするというトライアウト公演がありました。
そんな時に舞台の盆が突然ストップしたと聞きました。もちろん、正常に動くまで公演はストップします。
また、オープンする3日前の公演で主演のAndy Kariが怪我をし、15分ぐらいストップし、支える棒を使って最後まで演じたそうです。オープン3日前ですよ!
次の日は、マチネ(昼公演)がキャンセルになり、その間、朝8時スタートで2番手のメイン役の人と、その2番手の役を演じる人のリハがあり、見事に夜公演本番で二人とも演じきったそうです。
ここまで聞いていても凄いな、と思いますが、オープンするまでは2番手やアンダースタディーの稽古はないので、本当に寝ないで台本を見たりしたのだと思います。また、舞台を観ればわかりますが、とにかく早い展開で五つの回る盆(舞台)のどの盆に乗って演じないといけないか、それを覚えるだけでも大変そうなのですが・・・プロですね。

(C) Joan Marcus

(C) Joan Marcus

(C) Joan Marcus

(C) Joan Marcus

夫はリハなど多忙を極め精神的にも大変疲れていたのですが、オープニング前に1日お休みがある予定で、少しホッとできるはずでした。 ところが夕方に、メイン役のAndyが明日の初日のために、怪我した膝で可能なシーンに変更するなどのリハを、朝8時からすると電話がありました。(初日=オープンに出演しないとトニー賞にノミネートされないのだそうです。) このニュースもすぐにソーシャルメディアで取り上げられていたので、こういう経緯を知っている私やお客さんの前で、いよいよブロードウェイの幕が開きました!

(C) Joan Marcus

(C) Joan Marcus

とにかくセット(小道具)が次から次へと変わり、一瞬瞬きをすると見逃すのではないか。というほどの速さでキャストも全力をかけて演じています!
よくスピーディーに盆から盆へ移動しているなと、観ながら私たちもジェットコースターに乗っている気分になります。
また主演のAndyが痛いのにそれを見せず、というより彼は(演出家は)それをわざとユーモアに持っていき、思いっきりお客さんとストーリーが一つとなり、最後のキャストのお辞儀では観てるこちら側がほろっときたほどでした。

(C) Joan Marcus

(C) Joan Marcus

(C) Joan Marcus

(C) Joan Marcus

オープニング・パーティーは夫を始めキャストの皆さんも、無事に初日を開けたことをとても喜んでいました。スタッフも私の夫がどんなにハードワークをしているか、キャストも「彼のおかげで怪我をしなかった。」と言ってくれていました。
(スタッフさんはキャストが演じてる舞台上に10回以上も出てきてセットを変えますが、私は2回だけしか確認できませんでした!)
主演のAndyは次の日の批評で「ブロードウェイにスターがでた!」とたくさん好評をもらっています。とにかくチャーミングでカリスマ性があり、自然にとても面白く演じていました。

オープニング・パーティー

オープニング・パーティー

オープニング・パーティー

オープニング・パーティー

ブロードウェイのすごいところはこれだけ年月をかけて準備をしても、どれくらいロングランするかスタッフも誰も分からないところですよね。
パーティーに参加していた他のミュージカルのスタッフさんが、オープンして2週間で終わったと言っていました。また、新作の『アメリ』はどうかな、とか、『アナスタシア』のリハが行われていますが、その話などキャストよりもスタッフさんたちの方が、たくさん知っていてとても面白かったです。

プレイビル

プレイビル

これは英語が分からなくても、ヴィジュアルで魅せてくれますし多くのコメディシーンがあり、十分に楽しめると思います。「カーチェース」のシーンは最高です! その前の酒場でのシーンもさすがです! アジア人俳優の方も良い味を出しています。日本人の劇場関係の知人も「抜群でした。その週にまとめてみた舞台で一番好きでした。」とおしゃってくれたほどストーリーに感動させられる作品です。 ぜひ、ニューヨークに来た時は『Groundhog Day』を観に行ってください!!

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。
http://ameblo.jp/mami-tomotani/

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