2016年、最初のミュージカル観劇は『レ・ミゼラブル』でした。

今年の9月でブロードウェイの『レ・ミゼラブル』が終わると聞き、『レミゼ』を初演からずっと見続けているアメリカ人の友人が、今演じている〈ジャンバルジャン〉が最高で彼は今年の途中で他の人と変わってしまうので、その前にオススメの〈ジャンバルジャン〉を観に行こう ! とういうことで20年ぶりに観に行きました!
20年ぐらい前にブロードウェイで観た時は、安いチケットのボックス席で、座っている席からは、舞台のセンターから3分の1は観られなかったのを覚えています。
劇場も変わり、演出も変わり映像が使われ、セットがシンプルなのに驚きました。もっとゴテゴテしていたイメージがあったので。映画を見ているようなシーンもありました。

そう!〈ジャンバルジャン〉Alfie Boeは素晴らしかったです! まず声が柔らかく、歌っているというより話しているようで、よく歌詞が分かりやすく、イメージしていた通りでした。
友人が、彼の本業は車の修理工で、ある日車の下で修理をしながら歌っていたのをプロデューサーかディレクターが聴き、すぐにオペラに出演させ、その後は引っ張りだこ。と説明してくれました。何がチャンスになるか分かりませんね(喜)
ファンティーヌ役の黒人の女性が、(他のミュージカルでも主役をされてたそうですが)歌う時に体が毎回うねり、ソウルミュージックやアフリカンミュージックを歌っているみたいで、気になりました。友人も休憩になると「あの歌う時の体の動き止めてくれないかな。」と言っていました。

『レ・ミゼラブル』

テナルディエ役(Gavin Lee)の方が、なぜか間の使い方や笑いの持って行き方が皮肉っぽっく、20年前に感激した時のような観客をバンバン笑わせるというアメリカン的より、イギリスジョークみたいで、ヨーロッパの匂いがして私は好きでした。お客は大声で笑うというより、クスクスと笑う感じで、またそれを皮肉みたいな表情で返していて、休憩の時に友人から「覚えている、前に友人の家でパーティーがあった時のイギリス人役者さんよ。ずっと『メリーポピンズ』で主役をやった彼だよ。」と!
確かに、背が高く、マシュー・ボーン振付の『メリーポピンズ』では、キャラクターがぴったりで、ウエストエンドからブロードウェイで上演された時もアメリカ人キャストがメインではなく、彼がメインを演じていたのでよく覚えています。また、友人のパーティーでも会っていましたし。ただ演じるキャラクターがあまりにも違ってビックリしましたが。
背の高さを使い、長い手足も折れる感じで、テナルディエ夫人とは全然違う体型でこのコンビは面白かったです。

『レ・ミゼラブル』

『レ・ミゼラブル』

エポニーヌの黒人女性(Brennyn Lark)も素晴らしかったです!
でも、マリウスが・・・簡単に殺されそうな本当に弱い感じで・・・初演から観ている友人曰く「若さだけで行動し、恋してるというだけが見て取れるのは、ジャンバルジャンなど大人の男とは違うのを出そうとする演出でしょうね。解るわ。でもあのアイドルみたいな歌い方はなんだかね。」と言っていました。
そうなんです。「ニュージーズ」の男の子が出てきた感じで、確かに若さだけで、これから人生いろいろと学ぶのだろうな。という感じではありましたが、頭が良さそうには見えず、革命に参加した理由が、若さで間違って参加したね・・・という感じでした。

『レ・ミゼラブル』

作品はだいぶ短くなりスピードもあるけど少し走っている感じで、バリケードのシーンではあっという間にみんな倒れた感じがして、20年前の感動はありませんでした。でも、3時間を長いとは感じさせず、アンサンブルがとても良く、一人一人が舞台の世界で生きているのが見え、層が厚く、さすがロングランするだけあるな、と思いました。
こうやって、終わるミュージカルもあれば、『キャッツ』のように今度はブロードウェイに戻ってきたりと・・・私は日本で演じていましたが、今度のキャストは私たちの子供と言ってもおかしくない年代の役者さんたちが演じるのでしょうね(笑)。

さて最後に、TBE(ミュージカルプログラム)がいよいよ3月22日から東京で開催されます。3月27日(日)は見学可能なので、ぜひホームページをご覧ください。定員になりましたが、開催される場所の尚美ミュージックカレッジのスタジオが広いので限定で5名ほど最終募集をすると思います。お申し込みはお早めに。 http://thebroadwayexperience.com/home-japan/

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。
http://ameblo.jp/mami-tomotani/

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