トニー賞8部門ノミネートのお芝居『WOLF HALL』を観ました。

『WOLF HALL』は全編がパート1とパート2に分かれていて、それぞれ約2時間半くらいあります。例えば、マチネ(昼公演)は、パート1が上演され、ソワレ(夜公演)はパート2が上演されます。
なので、お客さんも二つのショーのチケットを購入しないと全部は観られません。もちろん、パート1だけを観る方、パート2だけを観る方もいると思います。
私が観に行った時は、マチネ(昼)がパート2で、ソワレ(夜)がパート1でした。パート1だけを観て、パート2は観ないか、他の日に行くことも出来たのですが、夫がこの仕事に関わっているために1日で全部観ることになり、しかも、パート2からと順番が逆!だったのですが、頑張って観てきました。

イギリスの俳優さんたちで演じられ、ヘンリー8世と王の寵臣トマス・クロムウェルの話で、どちらかというとトマス側がメインです。
簡単に話すと、国王の2度の離婚のために、トマスは、宗教改革、行政革命をし、王に忠実でヘンリー8世の離婚や2度目の王妃アンとの結婚そして処刑、また3度目の結婚を指示したりと、とことん王の希望通りに持って行きます。ここまでがお芝居二つのパートに分かれて上演されています。 ちなみに、この後のトマスですが、急に3度目の王妃が亡くなり、そこで4度目の再婚相手をみつけるために、トマスは画家を欧州大陸の各国宮廷に派遣し、妃候補の肖像画を描かせて、その中から国のために良い関係をもっておきたい国の女性を王に推薦したのです。

Photo:Mami Tomotani

しかし、実際に王が会ってみると絵と全然違います!
それに王は怒って、トマスは失脚します。王はこの女性と結婚しますがすぐに離婚し(婚姻無効化)、その婚姻無効化が決まった日になんと、なんと、最後にトマスは処刑されてしまうのです! なんという人生でしょうか・・・まあ、ヘンリー8世は、この後、結婚した女性も処刑するのですが・・・

Photo:Mami Tomotani

でも舞台では、このヘンリー8世はかなりチャーミングなわがままに解釈するように演じられていて、どちらかというとトマスの方がだんだん冷酷になっていくという感じでした。
このヘンリー8世のお話は、たくさんの女性、政治家たちの思惑とロマンと残酷さなど実際にあった話なので、イギリスにいる間も、大河ドラマのように毎回、違うキャストや演出でテレビドラマ化されていたのを覚えています。
ここまで書いて、まだどこもダンス作品にしていないのが不思議ですね。

残酷すぎるのかな・・・でも、このブロードウェイの舞台は、残酷なシーンは実をいうとありません。でも、想像できるというか、後は言葉と語りで持っていくという感じで良く出来ています!
パート1では、宮廷のダンスシーンからスタートし、23、4人とかなりのキャストが出演します。セットは、1500年前後の宮廷というより、コンクリートのような打ちっぱなしの高い壁の組み合わせで、コンテンポラリーのデザインで、近代的でビックリします。斜めに階段がセンターへと左右にあり、キャストは、そこを使って客席に降りてはけたり、出てきたりとし、観客も宮廷に働いている一人になる気分にさせます。この美しいシンプルなセットがあの時代の宮廷の衣装ととても合い、冷たくも時には暖かくも感じさせます。
舞台の後ろが少し高くなっていて、この高くなった床を歩いている女性は宮廷のお庭を歩いているように見え、また、その歩いている人を見つけて王は、舞台前で実際に後ろを見ず、手を振るのですが、窓から庭に向かって手振っているように見えたりと、コンクリートの打ちっぱなしのような壁のセットの中で美しく演出されていて印象的でした。

照明も時々客席まで明るくなったりするのですが、違和感がなく、そしてあのイギリスの暗い石造りの様子なども豪華なセット無しで、照明と演出と小道具などで表せるのだ、と私も観ていて勉強になりました。ちなみに、短い宮廷ダンスシーンがパート1で、パート2ではコーラスがあります。
でも、役者さんたちも大変です。お話がパート1からパート2に続いているのに、日によっては、パート2がマチネで、その後にパート1がソワレの時もあるので、まるで映画の撮影みたいですね。また、内容は全然違うので、二つの芝居、あるいは5時間の芝居を演じていることになります。

Photo:Mami Tomotani

でも、1日で両方を観た私もさすがに疲れました・・・
ただ、映画の『X-メン』のプロフェッサー、『スタートレック』のキャプテンなどを演じたパトリック・スチュワートが観にきていて、ニューヨークだな、と改めて思いました。 そして、外の救急車やパトカーの音が劇場内に良く聞こえることもさすがニューヨーク!
(役者さんたちはこの音に慣れたそうです。)
それと、ワインを劇場で頼むと、かわいいブロードウェイのカップで出してくれました。でも、そのカップ代が$5か$6取られていて、とても高いワインでした!
そのカップを他の日に持ってくると次はワインだけをそれについでカップ代はいらないそうです。
下記が、ウエブサイトです。
http://wolfhallbroadway.com/

最後に、TBEニューヨークコースは、今月がお申し込み最終です!
すでに申し込まれている方もいますが、日本も入れて世界中から約50名参加します。
劇団四季の『アラジン』のリハーサル風景がユーチューブから見られます。このブロードウェイのダンスキャプテンのMichael Mindlinは、TBE講師の一人で、この夏も講師で戻ってきます!
また、トニー賞ノミネートの "Something Rotten" と "American In Paris" も観劇に行きます!
詳しくは、ホームページをごらん下さい。
http://thebroadwayexperience.com/home-japan/

Photo:Mami Tomotani

Photo:Mami Tomotani

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。
http://ameblo.jp/mami-tomotani/

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