マシュー・ボーンの『シザーハンズ』イギリス・ツアーが始まりました。

イギリスの寒い冬の時期のツアーはあまり好きではなく、アメリカに移住してからも冬のイギリス・ツアーを又やりたいとは一度も思いませんでした。それなのに(笑)

私はこのツアーに入る前に、ロンドンのサドラーズウェルズ劇場でもう一つの役、主役のエドワードと出会って街に連れて帰り、家族、街の人たちに紹介するメインの母親役ペグもしました。ともかく時間がない中、教えてもらうはずのペグ役をやっていたマディーが風邪で2週間休み、もう一人のペグ役のエタも全公演出演中という中、(どうやって振りを覚えたかというと・・・)ビデオと2人いるうちの一人のエドワード役しているリーアムが休演日の日に、一緒にリハーサルをしてもらい「たしか、このカウントでペグは頷いて、上手に歩いていく。」などと教えてもらい、後日1回だけ舞台で全員と通して、直ぐに本番でした。今考えても冷や汗ものでした。
6年前ぐらい前にこの役はやりましたが、生オケ (オーケストラをバックに) でこの役をやるのは初めてです。

エドワード役はミュージカル「ビリーエリオット」の 主役の一人、Liam Mower.

エドワード役はミュージカル「ビリーエリオット」の
主役の一人、Liam Mower.

それと今回大きな違いは、最初と最後のシーンの主役の女の子が年老いたシーンは、今回はペグ役がやることになり、私は初めてなので少し緊張しましたが、「安全に演じるのではなくなく、自分を信じて、思い切って物語の中に溶け込み、伝えよう。私なら出来る。」と、自分に自信を持たせて挑みました。
マシューもエタも「真実、とても良い。本当に良くやっている。」と2幕前の休憩で言われたので、少しホッとして2幕も思いっきり演じることができました。

私のペグ役の夫は、Tim Hodges.

私のペグ役の夫は、Tim Hodges.

私のもう一つの役、ティフの娘は日本人のMari Kamata. 夫役は、Edwin Ray

私のもう一つの役、ティフの娘は日本人のMari Kamata.
夫役は、Edwin Ray

主役の女の子が年を取ったシーンは、私一人で舞台に残り、お客さんに物語を伝えた後に、エドワードを想って思い出に浸っていると雪が降って来て、彼がずっとそばで見てくれている・・・という気持ちが高まるシーンなのですが、こればかりはどうやって練習して良いものか悩み、想像して音楽に合わせて歩いてポジションに立ち、ハサミを持ち上げるタイミングを短いリハーサルで確認はしていましたが・・・
やはり全員が最後まで物語を盛り上げて、エドワードを街から追い出し、主役の女の子のキムの悲しい後ろ姿を見て彼女のエネルギー、気持ちを受け取って、舞台上に一人になり、実際に雪が降ってくると気持ちが高まって涙が出てきました。

エタが次の日にこの役をした後、彼女が「今日は涙が出なかった。」と言ったので私も昨日は泣いてしまったけど、実際は演じる側はあまり泣かない方がお客も引かず、感動が伝わる、と劇団四季で教わったことを言うと、エタもイギリスの芝居カンパニー、ニーハイムで悲劇のヒロインを演じる時に、同じことをディレクターに言われた、と言っていました。

やっぱり言葉を話さず、演技で物語を伝える役は難しいです。特にこの短いリハーサルでは、舞台で演じていくうちにだんだん掴むのだろうな。という感じです。
いろいろと、《こうしよう、ああしよう》と演じる前に決めるより、シンプルに「パニックになる。」「彼を恋しく思う。」など舞台上に出る前に思って、後はその時に感じたままに演じた方がリアルで自分自身にも嘘がなく、一緒に演じるメンバーとも楽しめます。もちろんこれは私のやり方で、他のメンバーでは、「私はこう演じる。こう動作をする。と決めてそれをやる。」という人もいます。人それぞれですからね。実際に、毎回同じよう演じる人と、違う人がいますが、どちらもお客さんに感動を与えているのだと思います。

メインのキム役は、Katy Lowenhoff.

メインのキム役は、Katy Lowenhoff.

マシューは、今回は若い出演者が多いので、最初は「毎公演、違うジェスチャーはしないように。と言ったけど、そろそろ全員役を理解しただろうから、感じたまま、あるいはアイデアで違うことをしても良い。何人か新しいメンバーが入って来て、新たなコミュニケーションが舞台上で生まれて来ているし。」と1月後半になって言っていました。私は12月途中から参加しましたが、他のメンバーは10月からリハーサルで11月から公演をしているのでかなり長い間演じてきています。そろそろ新鮮さがなくなるので良いアドバイスと思いました。

さて、大阪で開催される「ブロードウエィエクスペリエンス」(TBE)は、10名だけの空きがあり先着順です。どうぞお見逃しなく!
http://thebroadwayexperience.com/home-japan/

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。
http://ameblo.jp/mami-tomotani/

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