A HAPPY NEW YEAR!

2008年、今年は私にとって充電の年です。
以前にこの「踊りある記」に書いたように、来年は『Nutcracker!』と『シザーハンズ』のスケジュールが重なるので、私はマシューの作品の『Nutcracker!』を選びました。ですから5月半ば迄『Nutcracker!』です。その後はマシューのカンパニーは『シザーハンズ』のインターナショナルツアーとロンドン公演がありますが、この作品には出演しません。2009年の『ザ・カー・マン』ナショナルツアーに出演する予定なので、それまで日本、アメリカ、ロンドンを行ったり来たりするつもりです。

ところで、『Nutcracker!』が始まりましたが、子供から老若男女まで楽しめる作品なので、子供のために嫌々来ているお父さんもマシュマロガールズなどのユーモアを楽しんでいる感じです。

キューピッド

キューピッド

プレスナイトにキューピットを演じましたが、この役はツイン(双子)の役なので演技、踊りが全く同じタイミングでないといけません。私の相手役は3人います。どのダンサーとも3週間のリハーサルでは短すぎて、一緒にクリーンアップをする時間がなく毎回あわせるのに大変です。劇場でのテクニカルリハーサルで私はドリューとキューピットをやっていましたが、マシューから「一緒じゃない。コメディーシーンもうまくいってない。」とマイクを通して言われました。正直言って、私もドリューもハードスケジュールで疲れていてしかもこの3週間私たちは一度も一緒に踊ったことがなく、このテクニカルリハーサルが初めてだったので、マシューの言葉にむっとしました。「当たり前じゃない、3週間違うダンサーと組ませておいて今日初めて一緒にやったのだから。私たちを信じて待ってくれれば絶対プレスナイトまでにはうまくやるのに。」と。でもマシューの言っていることは的を得ていたので、きちんと「だめ」として受け入れ稽古を二人でしました。

テクニカルリハーサルを終え、初日を迎えドリューと一緒にキューピットをしましたが、マシューから「キューピットは素晴らしかった。役割をきちんと最後まで果たしていた。」と言われ、うれしいというより、ほっとしました。

ところが、次の週の大事なプレスナイトにドリューはフリッツの役をやることになり、私はギャビンとキューピットをすることになったのです! 誰と組もうとかまわないのですが、キューピットだけは二人の演技や踊りの息があうのに時間が必要なのでどうしよう、というか「マシューどうして?」という感じでした。
マシューもギャビンに「マミとドリューはステージを端から端まで使っているから、マミにあわせるように。」と心配そうに言い、私には苦笑いしながら、「ジャンプの時にマミがギャビンとぶつかるのじゃないかと思って。」「大丈夫、舞台前に二人であわせるから。良く見てギャビンにあわせるし。」と一応答え、ギャビンには「私を良く見てついてきてね。」と言いました(笑)。 この役はコメディーのシーンがあるので、異様な緊張を持つとうまくいきません。ギャビンと「とにかくお互いを良く見て二人で楽しもう。」と言い合いました。

『Nutcracker!』

『Nutcracker!』

プレスナイトは批評家や舞台関係の人たちばかりで一般のお客さんのようにあまり笑わないのはどの舞台でも同じで、笑いを取るシーンを受け持っている役のものに取ってはとても難しいのですが、私もギャビンも気にせずやれるだけのことをして楽しみました。
なんと、次の日のイブニング・スタンダードにメインでない私とギャビンの名前が載って、「スポットオン。」と好評でした。TIMEや他の新聞でも私たちのキューピットの写真がたくさん使われて苦労した甲斐があったという感じです。

ところで私は初めてミセス・ドロスをしましたが、3週間のリハーサルではみんなのシーン(踊りが主なシーン)を先に始めたので、この役に入っている、エタとミカと私は、このパートを最後の週の3日間で習い、1回テクニカルリハーサルをすると次は本番というハードなスケジュールでした。

この役は踊りよりも演技が主なのですが、例えば決まったカウントで右足から歩く,次は左足からリズムをかえて、役人の人たちの左側に立ってはけるときはドアを閉める。次は、ドアは閉めなくても良いけど、その次のはけはドアを閉める。などあまりにも似た動きでシンプルすぎて3人とも全然覚えられないのはショックでした(笑)。
私の初日は1幕でくるみの人形を片付けた後、ドアを閉めることは覚えていたのですが、その後、鍵をかけてその鍵を壁にかけて部屋を出る場面で、そのまま鍵を持ったまま袖にはけてしまいました。はけたとたんに「しまった。私が鍵を持っている!クララが抜き足でベットから起きて鍵を取るのだけどどうしよう!」とパニックに陥いりました。ドアの隣の袖にかがんでステージで演じているクララ役のケリーに「クララ、鍵はここ!ここにあるから。」と小さな声で話しかけました。ラッキーなことにケリーが私に気づいてドアの横の袖から鍵を拾ってくれたので助かりました。マシューに「クララにくるみ割り人形を渡さないように鍵を捨てたね。」と笑われてすみましたが、当の本人は本当にパニック状態でした。
私のことだからこれからも色々間違いをすると思うのですが、役になりきってどう対処するかが課題です。というか間違えなければ良いのですけどね(笑)。

2008年、皆さんの人生の中で何が起こるのか楽しみですね。
私も新たな1年を有意義に楽しく過ごせたらな。と思いながら新しい出会いを楽しみにしています。
今年もどうぞよろしくお願いします。

クイーン

クイーン

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。
http://ameblo.jp/mami-tomotani/

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