先日、『The Car Man』のミーティングがありました。

その前に誰がどの役をするのかは個別にメールでオファーがあり、そのオファーが自分にとってハッピーかどうかそれぞれが返事をして始めて全員に発表されます。ハッピーでない場合はキャストチェンジあるいはこのオファーを受けないダンサーも出て来ます。
今回マシューがオファーしたダンサーの全員の名前は発表され、マシューは「良いダンサー達が集まってうれしい。」と言っていました。

ニューヨークでマシューと何人かのダンサーと飲みに行ったとき、リチャードが「僕はMamiと踊る機会はあるの?」と聞くとマシューは「無いよ。でもMamiには凄いダンサーがパートナーになる。」と答えたのですが、いったい誰なのでしょう?キャストはリハーサル前日まで変更の可能性があるのでもしかしたらいつものダンサー達と踊る事になるかもしれませんが。

ダーリーン役

ダーリーン役

今回、私は「モニカ」役をもう一度します。
前回の『カーマン』の時は、私はオーストリアのカンパニーにいて最後の公演があるため、4、5日遅れて参加しました。
『カーマン』の新しいメンバーは2週間ぐらいのリハーサルで、振りや位置、演技、出入りの場所などを全部把握するという大変なものでした。そのため各場面の振りを習うと、一度だけ音で確認し、その後は1度も繰り返す事がなく、次の場面を習う。という繰り返しで、5日目には、最初の日に習った場面の振りはいったいどんな振りだったのか覚えていない状態でした。

スティーブ

スティーブ

リハーサルの後半はもう頭がパンク状態で何も覚えられなくなり、生まれて初めて「もうこれ以上覚えられない。」とダンスキャプテンに言ったのを覚えています。
私が「1回音楽を流して今まで教わった振りを踊ってから、それから新しいのを覚えたい。」と言ったら、「後1日で全部覚えてもらわないといけないからそれは出来ない。そのかわり30分休みをあげるから覚えて」と、言われました。

サーキット・トレーニング

サーキット・トレーニング

信じられないでしょうが、それまで『カーマン』の本番を1度も観た事がなく、日本公演の初日が最初に全幕を観た日で、次の日には出演しなければならないという最悪の状態だったのです。舞台を観ながらセットのどこから出てくるのか、確認していました。次の日に出るのが信じられなかったです。
劇団四季の時も、怪我人が出たため4日間で全部覚えて『オペラ座の怪人』に出演するなど何回か経験があったので、やれるだけ、やるしかない。という気持ちでした。

「カーマン」の車のシーンは、リハーサルの時に車がなく、マシューがみんなに「Mamiは一度も車で踊っていないから、みんなで助けるように。」と言ってくれていました。

モニカ役はずっと一つの役でいられるのでそれは助かりましたが、タバコのクォーテットなど、絶対間違えられないシーンが多かったのは困りました。
とにかく、ストーリーに集中したのを覚えています。また、ファイトシーンではここで怪我をしたり、相手に怪我をさせたら元も子もないので、相手役のシェルビーに「このシーンは危なくてしかも体に振りが入ってないので、カウントに集中するわね。演技が弱いかもしれないけどあなたに怪我をさせたくないからよろしく。」と言いました。

この時はマシューのカンパニーの初の日本公演で、しかも待ちに待ったお客さんからは、日本人ダンサーの私がどのくらい外国のカンパニーで通用できているか厳しい目で観られるだろうな。と思っていたのを覚えています。
3週間の日本公演は相手役のアンドリューを含めみんなに助けてもらっていました。正直、楽しめたのは、最後の大津での公演ぐらいです。

今回、モニカ役をもっと深められて自分の役にできるチャンスが来たのはとてもうれしいです。今は役のためのリサーチ中でワクワクしています。
もちろん、『シザーハンズ』も最後の1ヶ月に入りみんなそれぞれの役を楽しんで演じています。1年半も続いた『シザーハンズ』のカンパニーなので終わるのが寂しい気持ちとほっとする気持ちが交差する複雑なところです。

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。
http://ameblo.jp/mami-tomotani/

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