今年で4回目を迎えるベルリンインターナショナルワークショップ。

今年も才能溢れるバレリーナ達が沢山の経験をつみました。 そして、今回は6名の長期留学許可、バレエ学校に入学する権利を頂きました。

ベルリンに到着して、1日目。
朝からベルリン国立バレエ団にてスペシャルレッスン。この日は、バランシンスタイルのレッスンをしていただくようにリクエストして、あまり学ぶ機会が無い「バランシン メソッド」のクラスを受けました。
レッスンの最後には、ベルリン国立バレエ団の『白鳥の湖』の4幕の振付を教えていただき、みんなで踊ると言う体験レッスンをしました。 その後バレエ団のレッスン見学、プロのレッスンを見て皆何か感じてくれたことと思います。
その後、インターナショナルアカデミーベルリンのスタジオを借り切って、マラーホフ先生個人レッスンを1人ずつ受けました。

(C)Emi Hatayama

マラーホフ先生は、一人一人に見本をしっかり見せながら、ときにはパートナーとして体を支えてあげながら、ここをこのように伸ばすと良い、このラインがあなたにとって美しく見えるライン、など詳しく丁寧に指導してくださりました。
マラーホフ先生の個人レッスンと並行しホートンスタイルのモダンレッスンも行なわれました。床をたくさん使うメソッドで、本場アメリカの先生が教えてくださいました。これもなかなか日本では学べない技術でした。

(C)Emi Hatayama

ワークショップ2日目 まず最初にマラーホフ先生の特別クラスを受けました。
マラーホフ先生は、生徒達のレベルを見て、とても難しいコンビネーションを混ぜてくださりました。センターでは、バレエ団でやるような「パ」も入っており、小学生、中学生には難しかったと思いますが、みんなチャレンジし、しっかりついてきていました。今後に役立つ大切な注意もしてくださりました。
そして、インターナショナルバレエアカデミーのハンス校長の特別レッスンでも、とてもユニークなレッスンをしてくださりました。毎回違ったメソッドのレッスンができてとても貴重な経験だと思います。

夜は、ベルリン国立バレエ団のトリプルビル(キリアン、デュアトの公演)を鑑賞。
ナチョ・ドゥアトは、来シーズンが芸術監督として最後のシーズンとなりますが、ベルリン国立バレエ団は今後コンテンポラリーの方向に進んで行くと思います。
来シーズンはナチョの作品が多くなりそうですが、再来シーズンからどうなるか気になるところです。
昨年出産し復帰した、ポリーナ・セミオノワもこの公演に出演し、パフォーマンスに花を添えました。

(C)Emi Hatayama

(C)Emi Hatayama

3日目からは、ベルリン国立バレエ学校にて、ワークショップが行われました。
ベルリンバレエ学校を貸切で、少人数制でバレエ学校教師がレッスンしてくださり、集中力、そしてやる気がみなぎる素晴らしい時間となりました。
レッスン内容は、
クラッシックバレエ、ポワントクラス、ボーイズクラス、ボディコンディション、体操クラス。
クラッシックレッスンも日替わりで先生が変わり、ポワントクラスでは1時間トウシューズだけのレッスン。男の子2人のためにボーイズクラスも行ってくださり、忙しい毎日でしたが、一瞬一瞬がその場でしか得ることのできない時間でした。
とてもためになるレッスンをしていただきました。
その後、先生が日替わりで個人レッスン。各自バリエーションを見ていただきましたが、それぞれの先生が様々な注意を下さり、異なる指導してくださりました。
将来、いろいろなバレエ団で活動することになっても振り付けやスタイルは1つとは限らないことを思うと、いろいろなことを学べた事は財産になると思います。

プログラムの後半には、ベルリン国立バレエ団の『白鳥の湖』を全員で見に行きました。
今回は2列目、3列目のセンターでかぶりつきでの鑑賞となりました。
<キャスト>
オデット:ヤナ・サレンコ
ジークフリート:マリアン・ワルター
私が、10年間ベルリン国立バレエ団で踊っていた際にも毎回見ていた2人ですが、今回の舞台は本当に感動しました。
主演の2人は実生活でも夫婦と言うことで、いつも息がぴったりなのですが、本日の舞台は、ここでこの様になって欲しいと思うことが全てステージ上で起こり、鳥肌が立つほどでした。私自身、久しぶりにこのような舞台を見ました。

(C)Emi Hatayama

一つ一つの演技、感情表現、無駄のない完璧な踊り、ラインの美しさなど本当に文句なし。ピルエットとなど回転の後は必ず引き上がったままバランスをとってフィニッシュ、グラン・パ・ドゥシャなどジャンプすれば軽く180度以上開いて飛び、着地の音が聞こえない、バランスをすれば1分ぐらい止まっている、などミラクルの連続でした。2人とも今が正に旬だと思いました。
コール・ド・バレエや群舞はレベル的には、少し以前よりまとまりが無く、揃っていない部分が多かったような気がします。
コール・ド・バレエにはベルリン国立バレエ学校の生徒たちも多数出演しており、バレエ学校の生徒たちにとっては素晴らしい経験だと思います。
オーケストラも、ミスが多くまとまらない演奏の部分もあり少し残念でしたが、やはり生のオーケストラでバレエを見れるのが普通の環境であるのは贅沢だと思いました。
鑑賞した日本人のバレリーナたちの中には、オーケストラで全幕公演を見るのが初めての子もいて、それぞれとても感動し思い出に残ったようでした。
公演後、劇場横のレストランで、夜ご飯を全員で食べているときに、主役の2人が現れみんな大興奮。サインや写真を撮ってもらい大喜びでした。ヤナとマリアンは疲れているにもかかわらず、笑顔で全員に答えてくれ、本当に感謝としか言いようがありません。
心から感激した1日でした。

(C)Emi Hatayama

(C)Emi Hatayama

(C)Emi Hatayama

(C)Emi Hatayama

最終日には、ドイツ人の子たちのクラスに混ざりレッスンを受けさせていただきました。その日は、通訳はなし、と言うことでみんな実際に留学をしたような雰囲気でのレッスンとなりました。
私も、副校長先生である3年生の男女混合レッスン、卒業クラスの女の子のレッスン、そして5年生のレッスン等を見学しました。以前に比べて、またレベルが上がっていました。
3年生の生徒たちのレッスンは、基礎、ポジションをしっかり身に付けることだけを行っていました。卒業生になると、上半身や心を使って踊ることにも重視してレッスンが行われていました。
やはり、小さいときにはしっかりと正しいポジションを身に付けること、これはとても重要だと再確認しました。
午後からはモダンのレッスンもドイツ人と一緒に受けさせて頂き、見よう見まねでみんな楽しそうにレッスンを受けていました。

そして、ワークショップの最後の締めになるイベント。
校長先生はじめ、先生方、ベルリン国立バレエの生徒の1部が見る前で踊るバリエーション発表会が行われました。学校内にある、小ホールでプレゼンテーションが行われ、見ている私が緊張する雰囲気でしたが、みんな堂々と踊りきりました。その後は観光など様々に楽しい時間を過ごして帰国しました。!

芸術家として、全幕物のバレエや、様々な振付家の作品を踊るときには自分の中にある引き出しを豊かにし、そのためには、バレエだけではなくあらゆることから感じたり、学んだり、取り入れていくことが大切だと思います。
私自身も、日々発見しています、これからもずっといろいろなことを学びながら進んで行きたいと思います。

来月もまた世界からレポートいたします。

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

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