1月の中旬よりクロアチアの首都、ザグレブに来ています。

2017年3月17日に世界初演されるウラジーミル・マラーホフ版「白鳥の湖」の振り付け演出アシスタントを担当しています。
クロアチアに来たのは初めてですが、とても素晴らしく落ち着いた街です。
カンパニーのスケジュールは、朝10時から11時15分はクラスレッスン、その後11時35分から21時までリハーサルが行われます。
ダンサーは国際色豊かで、ヨーロッパ各地、アジア、オーストラリアからも集まり若く才能豊かなダンサーから、経験あるダンサーまで様々なタイプが揃っています。
クロアチア国立劇場は、広場の中央に建つ黄色い美しい建物で、1895年10月14日オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフの参観によりこけら落としされました。800の客席をもつ典型的バロック様式のオペラ座で夏期を除き、オペラ・演劇・バレエが上演されています。バレエのスタジオがある建物と劇場、ステージは地下でつながっています。

クロアチア国立バレエ団スタジオにてマラーホフさんとディレクター

クロアチア国立バレエ団スタジオにてマラーホフさんとディレクター

ベルリン国立歌劇場の改装前は、同じようにバレエのスタジオがある建物と劇場、ステージが地下でつながっていたので似ていて懐かしく感じます。
「白鳥の湖」のリハーサルプロセスは、もうこの後経験することがないと思われるほど内容の濃いものとなっています。
ウラジーミル・マラーホフ氏のバレエ作品は、ベルリン国立歌劇場バレエ団に在籍していたときには踊ったことがありますが、彼が振り付けをしてくださり、私たちは踊る側でした。
今回は、振り付け演出アシスタントと言うことでどのようにマラーホフ氏が、どのような時に、アイディアとインスピレーションが湧き、振り付けを進めていくのかなど、そのようなプロセスを共有でき、本当に貴重な体験となっています。
このような時間に心より感謝するとともに、3月の公演がより良いものとなるように精一杯私も力添えできたらと思います。
来月も引き続きクロアチアから情報をお送りいたします。

スタジオより

スタジオより

街の風景

街の風景

1月27日、クロアチア国内のミュージアムや博物館、ギャラリーが夜中まで解放されると言う特別の日でした。
私は、「白鳥の湖」のリハーサルが終わった18時以降から、4時間以上、7つのミュージアムを見に行きました。
その中でも興味深かったのは、世界各地の「くるみ割り人形」の衣装やセットなどが特別展示されていたミュージアムです。
クロアチア国立バレエ団の協力のもと、このような展示会が可能になったそうです。

博物館

博物館

ミラノ国立バレエ団や、クロアチア国立バレエ団の衣装、そしてベルリン国立バレエ団が、4年前に新作初演した時の衣装も展示されてあり、とても興味深く拝見しました。
その他に、子供たちが描いたバレエの絵や、切り絵、世界各国の「くるみ割り人形」その物も展示されていて見応えたっぷりでした。
その他、ミマラ博物館のコレクションが素晴らしかったです。ザルツブルグの富豪ミマラの個人コレクションがザグレブ市に寄贈されたもので1987年一般向けに開館されました。ラファエロ、ルノアール、ルーベンス、レンブラント、ゴヤ等を含む4千点弱の絵画を所蔵、日本の展示品もありました。

くるみ割り人形展示会

くるみ割り人形展示会

博物館

博物館

くるみ割り人形展示会

くるみ割り人形展示会

くるみ割り人形展示会

くるみ割り人形展示会

1月17日にクロアチア国立バレエ団のパフォーマンスを見ました。
タイトルは「Ballet Bluebeard 」
振付 Staša Zurovac
音楽 Marjan Nećak
キャスト:
Concierge: Nikša Kušelj
Modrobradi主演: Guliherme Alves Gameiro

「Ballet Bluebeard 」Photo (c)Mara Brato

「Ballet Bluebeard 」Photo (c)Mara Brato

振付家″Stasa Zurovac″は、クロアチア出身のアーティストで、多彩な感性を持つ振付家、エンターテーメント性豊かな作品としてまとめていました。
音楽は、マケドニアの作曲家″Marjan Necak″がこの作品のために作曲しました。音楽はテープが使用されましたが、オーケストラボックスもステージと化し、そこでもダンサーが踊り、1人のオペラ歌手が実際にステージ上で歌を歌いながら進行を進めユニークな作品でした。
このバレエは、1人の主人公の人生を描いたもので、複数の結婚式の場と複数の葬式の場から構成されていました。
主演ダンサーは、何人もの妻を持ち、現実の愛を通して自分の苦しみを圧倒しようとする感情表現に迫力があり、虚偽の理想のために苦しむ今日の人間の不器用さをダイナミックに表現していました。ダンサーは、ネオクラッシック、コンテンポラリーを主に素晴らしい動きでステージを舞い、ステージで輝いていました。

「Ballet Bluebeard 」Photo (c)Mara Brato

「Ballet Bluebeard 」Photo (c)Mara Brato

「Ballet Bluebeard 」Photo (c)Mara Brato

「Ballet Bluebeard 」Photo (c)Mara Brato

2月は、ほとんどヨーロッパに滞在します。
クロアチアからはインタビューも含め、来月はまた色々な情報をお伝えしたいと思います。

インタビュー & コラム

hariyama.jpg

針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

ページの先頭へ戻る