今月はロシア、ドイツからお届けいたします。
- インタビュー & コラム
- コラム 針山愛美
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毎年8月に行われている'Zeitgenoessische Oper'主催の'Berliner Hauptbanhof Fesitival'。
ベルリン中央駅構内中心の、広い空間がステージになり、'音楽''ダンス'など、あらゆる分野の芸術家がパフォーマンスする画期的なフェスティバルです。
今年は、来年予算が出ないかもしれないという事で、最後になるかもしれないとの事、本当に残念です。
私は、2年前にベルリンフィルハーモニーのHolm氏とこのフェスティバルで競演しましたが、今回はビジュアルアーティストであるPrzybyla・Joanna(彫刻と作曲)と音楽家Benedikt・Bindewald(バイオリン)と競演しました。
(C) Emi Hariyama
50分の作品で、音楽はJoannaが作曲し録音した曲に、Benediktが即興でバイオリンの音色を加え、私はずっと即興で踊りました。
彫刻との競演という事で木の幹、枝を使って演出し、それに加え風をイメージする白い紙を使い踊りました。
10日以上に渡り、中央駅を賑わしたフェスティバルは盛況の中、幕を閉じました。
(C) Emi Hariyama
(C) Emi Hariyama
この夏ベルリン国立バレエ学校に3名のバレリーナ、ダンサーを送り出す事が出来ました。
ベルリン国立バレエ学校は、ベルリン国立バレエ団とはあまり交流がない為、これまではバレエ学校に行きクラスを見たり、たまに知り合いの先生などを訪れる機会しかありませんでした。
5月に行ったベルリンワークショップの関係で、色々と打ち合わせさせて頂いている時にも素晴らしいバレエ学校だと感じましたが、今回は、バレエ学校の色々な仕組みや、寮も知る機会に恵まれ更に色々と勉強になりました。
現地で3名の生徒の母代わりで手続きを行ったり、初めての事が多かったのですが、今後は私も海外に行きたい方々へのお手伝いを出来る事が、私が今まで通って来た道の恩返しかな、と思います。
8月30日は2014-2015年度のベルリンフィルハーモニーのシーズンオープニングでした。
そのコンサートのリハーサルを聞きました。
今年のプログラムは、ストラビンスキー(火の鳥)とラフマニノフ(シンフォニック ダンサーズ)です。
火の鳥のリハーサルを聞きましたが、何度も踊っているだけあり比較ができ、興味深かったです。
さすがベルリンフィルハーモニー、集中力と細かいところまで徹底的に曲作り、素晴らしいリハーサルでした。今年11月2日に私もベルリンフィルのカンマーミュージックホール(小ホール)で、ベルリンフィルの音楽家と競演させていただきます。
先月にお届けしたワガノワバレエ学校に初めて訪れたのは1990年の事でした。その翌年、1991年にボリショイバレエ学校を訪れました。
初めてボリショイバレエ学校を訪れてから23年の日々が過ぎ、その間何度も訪れていますがいつ来ても複雑な気持ちになります。
私が本格的に日本を発ち、ボリショイバレエ学校に留学したのが1993年から1996年でした。
その当時のクラッシックバレエの担任教師、マリーナ・レオノヴァ先生は今、校長先生です。
ボリショイ劇場は、ずっと工事中でしたが、改装後美しくなった外観の前は噴水も美しく、20年前の雰囲気を取り戻していました。
ボリショイバレエ団所属のクラスメートと再開し、久しぶりに90年代の話で盛り上がりました。バレエ団員はこの秋11月の日本公演を楽しみにしているようです。
ボリショイ劇場 (C) Emi Hariyama
そして、久しぶりに訪れたバレエ学校。
まず、寮の変貌振りに驚嘆しました。電話もろくに繋がらなかった寮に、Wi-Fiが通っていました。当時、私の通信の術は手紙を出すのみで、出しても2ヵ月後に届くと言う時代から、スマートフォーンで寮からチャットできる時代に変わっていました。
私の寮の部屋、懐かしく家具はそのまま、三人部屋になっていました。寮母さんのうちの一人は変わっていなくて覚えてくださっていて歴史を感じました。
(C) Emi Hariyama
バレエ学校のスタジオは変わらず赴きある雰囲気、食堂は改装し綺麗になっていましたが、食べ物のなかった時代に留学していたので良い思い出と厳しい思い出で胸が一杯になりました。
私がよくお世話になった医務室、そしてその当時の先生も健在でした。
その他、懐かしい顔ぶればかりでした。
偶然、クラスメートと廊下出会いましたが、彼女は7年前から既にバレエ学校の教師を務めているとの事でした。
寒さをしのぐ為に地下鉄の料金を払い駅で手紙を書いていた時代、フルンゼンスカヤ駅も変わらず、胸があつくなりましたが、今は駅の周りにスターバックスやフライデーレストランなどで賑わっていました。
時代の変化は物凄く早く、今やロシアはヨーロッパと変わらない雰囲気も感じますが、改めて私が留学した時代は別の意味で貴重だと、本当に今は出来ない経験をしたなあ、と感謝の気持ちになりました。
ウクライナとロシアの関係が少し心配です。
そんな中、近いうちにウクライナからの便りが出来るかもしれません。
ベルリンからマラーホフが主催するタリオーニアワードの様子もお届けします。
ボリショイ劇場前 噴水
(C) Emi Hariyama
ボリショイバレエ学校
(C) Emi Hariyama
ボリショイバレエ学校
(C) Emi Hariyama
懐かしい地下鉄フルンゼンスカヤ駅
(C) Emi Hariyama
インタビュー & コラム
針山 愛美 Emi Hariyama
13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。
1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
◆Emi International Arts
◆針山愛美のバレエワールド