ダイアリー ~ダンサー日記~

針山愛美さん [ プロフィール ]

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
◆Emi International Arts
◆針山愛美のバレエワールド

From Berlin 針山愛美

5月・・・、1年で最も美しい季節になりました。

ベルリンではまだ不安定な天気が続きますが、緑鮮やかな春到来です。

4月16日から22日にかけて、インターナショナルダンスサミットベルリンが開催されました。もう毎年恒例になっていますが、今年はシラー劇場の2階の広間で毎日色々な催しが行われました。
その中のプログラムのハイライトとして4月19日〜22日、エイフマンカンパニーがゲストカンパニーとして来独しました。
19、20日は『アンナ・カレーニナ』、21・22日は『オネーギン』という演目。
私は初日と最終日を見ましたが、エイフマン色満載でダイナミックな印象が残りました。
『アンナ・カレーニナ』は新国立劇場でも上演されている演出だと思います。去年の夏、METに客演しているマリンスキー劇場のラトマンスキー版を見ましたが、それとは全く異なった演出で見比べるのも面白かったです。最後の列車のシーンはダンサーが列車を演じていましたが強烈なエネルギーをかもし出していました。
『オネーギン』は2009年に初演された最近の作品です。ベルリンバレエ団でも上演しているクランコ版を知っている人は本当にびっくりしたと思いますが、映像と照明をふんだんに使い、踊りもエイフマンスタイルのモダンとキャバレー的な雰囲気を混ぜた全く新しいオネーギンを見せてくれました。
どちらの作品も、長身でスタイルの良い美男美女がダイナミックに踊り、振付がより一層引き立って素晴らしい作品に仕上がっていました。
サミット最終日の22日は朝から、ダンサーブランチが行われ、私も含め数人のダンサーがお客様と色々お話しました。普段お会いできない観客の皆様とお話しすることができ、またどのような事を疑問に思っていらっしゃるかなどを知る貴重な機会でした。

4月21日
フィルハーモニーでコンサート形式の『カルメン』を聞きに行きました。
ザルツブルグ音楽祭で上演したものと同じキャストでベルリンでお披露目。
ホセのヨナス・カウフマンが本当に素晴らしかったです。
フィルハーモニーが演奏すると、カルメンも美しすぎるくらいまとまった演奏でしたが、サイモン・ラトルが指揮するカルメンももうめったに聞く事のできない貴重な機会でした。
ベルリンは本当に芸術面で恵まれていると思います。

4月27日
ナチョ・ドゥアト、フォーサイス、マルコ・ゴーケのトリプルビルの初演でした。
プログラム
1、アルカンジェロ
振付: ナチョ・ドゥアト
音楽(テープ): アルカンジェロ・コレッリ、アレッサンドロ・スカルラッティ
ステージと衣装: ナチョ・ドゥアト
リハーサル: トーマス・クライン

中村祥子
エリサ・カリージョカブレラ
ポリーナ・セミョーノワ
サラ・メシュトロビチ
ミハイル・カニンスキ
アシャク・ガルミャン
マイケル・バンテェフ
レオナル・ジャコビナ

1205emi1040.jpg フォーサイス作品 Photo:Emi Hariyama
2、HERMAN Schmerman
振付: ウィリアム・フォーサイス
音楽(テープ): トム・ウィレムス
ステージ衣装: ウィリアム・フォーサイス
リハーサル:ステファニー・アーント
ノアゲルバー

ナディア・サイダコーワ
アシャク・ガルミャン
ポリーナ・セミョーノワ
中村 祥子
クラシーナ・パブロワ
ジーヌ・タマズラカウ
ライナー・クレンシュテター

3、and the sky on that cloudy old day
振り付け: マルコ・ゴーケ
音楽: ジョン・アダムズ、
舞台と衣装デザイン: マルコ・ゴーケ
ライト: ウドハーバーランド

エリサ・カリージョカブレラ
アニサ・ブルレイ
ヘイリー・スワン
クセニア・ウィースト
ウラジミール・マラーホフ
ミハイル・カニンスキー
イブラヒム・オーナル
ディヌ・タマズラカウ
アレクサンダーシュパック

1205emi0013.jpg ゴーケ作品 Photo:Emi Hariyama 1205emi1094.jpg ゴーケ作品 Photo:Emi Hariyama
1205emi1060.jpg ナジャとアシャク
Photo:Emi Hariyama
1205emi0059.jpg ナチョ・ドゥアト作品
Photo:Emi Hariyama
1205emi0083.jpg フォーサイス作品
Photo:Emi Hariyama

4月27日に初演を迎えたトリプルビル。ネオクラッシック、コンテンポラリーの3本立てです。
ナチョ・ドゥアトの作品とフォーサイスの作品はバレエ団のために振付されたものではなく、バレエ団では初演となりますが既に他のバレエ団でも上演されています。
ゴーケの作品は世界初演となりました。実は、前日に完成(いや、、、当日と言っても過言ではありません)しました。それ程、最後の最後までより良い作品を作っていくため妥協せず、色々なアイデアを取り入れ、最後まで新しいアイデアを取り入れて行ったようです。
ステージングや照明はとても個性があり、今まであまり見た事の無い新鮮な作品でした。
ナチョとフォーサイスは残念ながらテープでの上演となりましたが、ゴーケはオーケストラが本当に素晴らしい演奏で盛り立てていました。

1205emi0996.jpg ラジアルシステムにて Photo:Emi Hariyama

5月1日
Radial system Vで‘Angel´s Share‘、コンサートを演出パフォーマンス化した、ステージコンサートを見ました。
音楽構成 Georg Kallweit
演出 Nicola Hümpel
セット Oliver Proske
ソプラノ Julla von Landsberg
ダンス Nadine Milzner
Performance Adrian Gillott
衣装 Frauke Ritter
演奏 Urban Strings - Berlin's Early Music All Star Band

音楽は17世紀から18世紀の音楽を使った作品です。音楽家も演技したり台詞があったりお芝居を見ながらコンサートを聞いているような不思議な感覚でした。ダンサーが1人、ダンスと言うよりはステージに動きを加えるようなゆっくりな動作でアクセントを加えていました。最後にはお客様全員にウイスキーを振舞うサービスまで。ベルリンにはこのようなコンサートステージ形式の公演は多いのですが、構成演出共にとても楽しめるものでした。

1205emi0170.jpg ポリーナとミーシャ Photo:Emi Hariyama

5月4日、5日
ナチョ/フォーサイス/ゴーケの公演。
5月5日、ポリーナのベルリン国立バレエ団での最終公演となりました。
私も勿論見に行きました。それと同時に袖から最後の一瞬を写真の一こまにおさめようと思い、一眼レフをもって見に行きました。
ポリーナのフォーサイスのパ・ド・ドゥは凄くて、本当に良い意味でびっくりしました。
その動き、シャープでダイナミック、スタイリッシュでエレガント。ハッとさせる絶妙のタイミングで会場を自分のものに仕切っていました。
その後、見に来た団員が袖で、彼女の最終の美をたたえ、別れを惜しみました。
私も8年間彼女を見ていましたが、彼女は日々本当にバレリーナとして大きくなっていきました。
これからも世界で活躍してほしいです。

5月8日
『ロメオとジュリエット』公演
<キャスト>
ジュリエット     エリザ・カブレラ
ロメオ        ミハイル・カニンスキー
ティボルト      レオ・ジャコビナ
マキューシオ     ジーヌ・タマズラカウ
エリザはジュリエットデビューです。夫でもあるミハイルとは息もぴったり。デビューとは思えないくらい落ち着いて演じきり、素晴らしいデビューを飾りました。残り3回ある『ロメオとジュリエット』は全て今日のキャストでの上演となりますので又来月号でもレポートします。

残すところ、バレエ団のプリミエは1作品となりました。
クランコ版の『オネーギン』も再演となります。新作はどのような作品になるか全く見当がつきませんが楽しみです。来月色々レポートいたしますね。

[2012.05.10]