2006/07シーズンには、4つの新作が上演された。来シーズンも新作3演目が予定されているが、厳密に言えば、年間プログラムの中では2作になる。何故かというと、2006年12月1日に常任振付家に任命されたウェイン・マックグレガーの新作は、通常のプログラムとしては予定されておらず、11月の催される「A
World Stage at Covent Garden」とうい特別ガラ公演での上演予定になっている。ということは、恐らく一夜限りの上演になると思う。その替わりというわけではないだろうが、2008年2月のトリプル・ビルで『Chroma』の再演が決まっている。
残り二つは、2008年2月/3月に、クリストファー・ウィールドン、同年4月にデンマーク人振付家キム・ブランドストラップの新作がそれぞれ予定されている。ブランドストラップにとって、メイン・ステージでの新作は初めてだ。彼は、2005年の初夏にリンベリー・スタジオ・シアターで上演された「インスパイアード・バイ・アシュトン」というプログラムで、『Two
footnotes to Ashton』をロイヤル・バレエに振付け、高い評価をえた。既に、ヨーロッパの他のバレエ・カンパニーやダンス・グループには精力的に新作を提供しているので、待ちに待った感がある。ロイヤル・バレエの新しい面を見せてくれるのでないかと期待している。
過去数シーズンの開幕が、ミックス・プログラムだったので、来シーズン、開幕から4作続けて全幕というのは、カンパニー創立75周年を区切りに、ロイヤル・バレエは新たな一歩を踏み出す、そんな意気込みを感じる。ダンサーたちには、体力的には厳しいものがあるかもしれないが、無事に乗り切った上で、更に素晴らしい舞台を見せて欲しい。
今シーズン、多く取り上げられたバランシーンが2演目になったのと入れ替わるように、フレデリック・アシュトンの作品が戻ってきたのも楽しみだ。12月から2008年1月にかけてダブル・ビルとして上演される『Les
Patineurs 』(『スケーターをする人々』)と、『Tales of Beatrix Potter 』(『ベアトリクス・ポター』)は、21世紀になって初めての上演のはず。また、プログラム発表の際に、ロイヤル・バレエ側から発言があったそうだが、2シーズンぶりの上演となる『A
Month in the Country』(2008年2月/3月)では、新しいキャストが組まれるようだ。
というのも、ここしばらくナタリア役をほぼ独占していた感のあるシルヴィ・ギエム(彼女自身、この役を好んでいたように思う)は、来シーズンもロイヤル・バレエに戻る予定はなく、また2シーズン前にロール・デビューしたダーシー・バッセルの引退はほぼ確定(今月15日から18日まで、ロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場でフェアウェル公演)。更に、一時期、ギエムとナタリア役を分け合っていたミュリエル・ヴァルタットも数年前にカンパニーを去っているので新キャストは必然だろう。舞台はロシアながら、イングリッシュ・ガーデンの片隅で、翳を増す夕闇の中に浮かび上がる名残の薔薇のようなこの演目を誰が、どう演じるのか。熱い議論が交わされることだろう。