船引怜美 Text by Remi Funabiki
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●これからのダンス公演、サドラーズ・ウェルズ サマー・シーズンなど

サドラーズ・ウェルズはロンドンのダンスシーンを語る上で最も重要な劇場。舞台一面のカーネーション畑からアイススケート場まで、どんな舞台でも可能にするSWは現代のダンスを物語ります。そのSWのサマーシーズン・プログラムが発表されました。今シーズンもボックス・オフィスに一日でも早く問い合わせなくては…という演目が並んでいます。

とりわけ注目される公演は3つ。まずはバレエ・ボーイズことジョージ・パイーパー・ダンシィズ(GPD)の新作『ネイキッドNaked』(6月4〜11日)。今まではマリファントやフォーサイスの小作品をレパートリーとしていたGPD。今回はマリファントと彼らによる共同創作のフルレングス作品となるようです。昨年の夏から話題になっているこの世界初演、大いに注目されています。7月8〜16日には世界中のコンテンポラリー・ダンス・ファンの注目を浴びると言っても言い過ぎではないコラボレーション『ゼロ・ディグリーZero degree』が実現します。今最も注目されているコレオグラファー、アクラム・カーンと昨年サウス・バンクでの『フォイFoi』(レ・バレエ・C・ドゥ・ラ・B上演)で、ロンドンのダンス・ファンに大きな衝撃を与えたシディ・ラルビ・シェルカウイ。さらに「エンジェル・オヴ・ノース」で知られる彫刻家アントニー・ゴームリーとインド人の血を引く作曲家ニティン・サウニーという前代未聞の4大アーティストのコラボレーションは、タイトルが語るようにまったく予測不可能な公演と言えるでしょう。そして最後に挙げられるのは、日本での世界初演を大成功におさめたアダム・クーパーの『危険な関係』(7月21日〜8月14日)。イギリスのファンにとっては待ちに待った公演となります。昨年の『雨に唄えば』に引き続き、SWはアダムの夏になりそうです。

『ネイキッド』


カンパーニャ・アテロバレット
海外のカンパニー公演として注目されるのは、イタリアのコンテンポラリー・バレエ・カンパニーのアテロバレット(5月3〜7日)、6月にはアメリカのポスト・モダン・ダンスの代名詞トリシャ・ブラウンが、芸術監督としての活動35周年を記念したプログラムを上演予定(トリシャ・ブラウン・ダンス・カンパニー、5月31日&6月1日)。6月14〜17日にはロンドンでも大人気のネザーランド・ダンス・シアター1(NDT1)が、イリ・キリアン&日本人建築家北川原温とのコラボレーションで注目された『ワン・オブ・ア・カインド』を上演。イギリスではプルミエとなるために大変注目されることは間違いないでしょう。6月21〜25日はロンドンではあまり観ることの出来ないブルノンヴィル作品を、本家本元デンマーク王立バレエのプリンシパルとソリストたちがガラ公演形式で上演、『ラ・シルフィード』、『コンセルヴァトワール』、『ナポリ第3幕』などが予定されています。8月16〜21日にはアリシア・アロンソ率いるキューバ国立バレエがアロンソ版『ジゼル』を上演、イギリスではなかなか観ることが出来ないカンパニーなのでとても貴重な体験となるでしょう。サマー・シーズン最後を飾るのはアルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアター。エイリーの代表作『リベレーションズ』他2作品を上演予定(9月5〜10日)。

SWのみならず、この夏の(4月以降)ロンドンの劇場は様々な注目すべき公演が予定されています。昨年大好評だったウィリアム・タケット振付アダム・クーパー&ウィル・ケンプ出演の『兵士の物語』再演(5月11〜14日)が、ロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)のリンブリー・スタジオ・シアターで予定されているほか、イングリッシュ・ナショナル・バレエの円形劇場版(デレク・ディーン版)『ロミオとジュリエット』(6月15〜25日、ロイヤル・アルバート・ホール)や、ロンドン・コロシアムでのオーストラリア・バレエの『白鳥の湖(グレイム・マーフィー振付)』(7月20〜24日)なども注目されるでしょう。

そしてROHのサマー・シーズンはイギリスでも非常に人気の高いキーロフ・バレエが『白鳥の湖』、『ロミオとジュリエット』、『ラ・バヤデール』、バランシン・プログラム(『ラ・ヴァルス』他)、フォーサイス・プログラム(『イン・ザ・ミドゥル・サムホワット・エレヴェイテッド』他)と完売必至と思われるプログラムで、2003年の夏以来にROHに戻ってきます(7月18〜30日)。

毎年夏のイベントとして注目されるエディンバラ・インターナショナル・フェスティバルのラインナップもかなり興味深いものになっています。クリストファー・ウィールドン振付の古典全幕作品ペンシルバニア・バレエによる『白鳥の湖』(8月15〜19日、エディンバラ・フェスティバル・シアター)、サシャ・ヴァルツ『Impromptus』(8月15・16日、エディンバラ・プレイハウス)、スコティッシュ・バレエによるバランシン・プログラム(『ルビー』、『アポロ』、『エピソード』:8月26 ̄28日、エディンバラ・プレイハウス)、オランダ国立バレエ(バランシン『ラ・ヴァルス』、ロビンス『コンサート』他:9月1 ̄3日、エディンバラ・プレイハウス)。

イングリッシュ・ナショナル・バレエ
『ロミオとジュリエット』

全体的に見て、『白鳥の湖』が様々なカンパニーによって上演されることと、バランシン作品がこの夏の特徴と思われます。エディンバラ・インターナショナル・フェスティバルだけではなく、キーロフ・バレエやロイヤル・バレエでもバランシン作品が取り上げられています。バランシンの生誕100年メモリアル・イヤー(2004年)から一年経ってのバランシン特集、少しタイミングのずれを感じますが、イギリスではあまり観る事の出来ない作品を観ることが出来ることはとてもうれしいことです。

詳細は、
サドラーズ・ウェルズ:サドラーズ・ウェルズ公式サイト、公演ブローシャー
『兵士の物語』とその他ロイヤル・バレエの公演:www.royalopera.org/
イングリッシュ・ナショナル・バレエ:www.ballet.org.uk/
オーストラリア・バレエ:オーストラリア・バレエ公式サイト、公演ブローシャー
キーロフ・バレエ ロンドン公演:招聘元Victor Hochhauser公式サイト
エディンバラ・インターナショナル・フェスティバル:エディンバラ・インターナショナル・フェスティバル公式サイト、www.ballet.co.uk/index.htm まで。

 

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