●ロイヤル・バレエ 2004/5のシーズン開幕は10月22日から
アシュトン生誕100周年メモリアル・イヤーの2004年、ロイヤル・バレエ(RB)は年間を通じて、RBの父、アシュトン作品を中心にシーズンを展開します。ここ数年のレパートリー拡大傾向(ウィールドン、マックグレガー、エック、キリアン、モリスなどのコンテンポラリー作品の導入)やマクミランの没後10年メモリアル・イヤーなどのためか、アシュトン作品の上演は少なくなっていました。しかし、このメモリアル・イヤーを機に、決して失われてはならない伝統とRBの財産としてアシュトン作品の素晴らしさを再認識する時が訪れます。
| アシュトンの全幕作品として今シーズン上演が予定されているのは、『シンデレラ』、『リーズの結婚』、『オンディーヌ』、そして40年ぶりに上演される『シルヴィア』。『シンデレラ』はウェンディー・エリス・サムス版として新しくなって昨年からクリスマス・プログラムとして復活しました。アンソニー・ダウエルとウェイン・スリープが醜い姉たちを演じ注目されました。今年は初演時にこの役を演じたアシュトンへのオマージュとして、アシュトンの息子たちとも言うべきアンソニーとウェインが去年よりもさらにパワーアップしてこの役を演ずることでしょう。『リーズの結婚』も数年ぶりに復活予定。アシュトンならではの、ほのぼのとした雰囲気がロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)を包み込むでしょう。 |
『シンデレラ』 |
アシュトンの1幕作品や小品はミックス・プログラムとして上演が予定されています。1937年に創られた『ウェディング・ブーケ』の復活を筆頭に、抽象バレエ『バレエの情景』、『ラプソディー』、『シンフォニック・ヴァリエーションズ』、演劇的バレエ『ダフニスとクロエ』、『エニグマ・ヴァリエーションズ』、『田園の出来事』、『ドリーム』、『マルグリットとアルマン』などが予定されています。それぞれが創作された年代(30〜80年代)も大きく異なることから、アシュトンの振付的変化などを見ることが出来るかもしれません。『バレエの情景』、『エニグマ・ヴァリエーションズ』や『田園の出来事』ではアシュトン・テクニックと言うべき音楽の中にぎっしりと詰め込まれたアレグロで軽快なステップ、それを踊りこなすRBダンサーに注目です。
11月のミックス・プログラムでは、アシュトン作品からのディベルティスメントが上演予定。まだ詳細は発表されていません。
ミックス・プロの多い今シーズンですが、全幕作品も欠かさずプログラムされています。サドラーズ・ウェルズでマシュー・ボーンの『Swan
Lake』が上演されている12月〜1月には、ダウエル版『白鳥の湖』の上演が予定されています。ここでもアシュトンの振付を堪能することが出来ます。3幕の「ナポリ」のヴァリエーションではアシュトンならではのセンス、目を見張るほどのアレグロテクニックが魅力です。
2月にはRBの人気プログラムの一つと言われる、ケネス・マクミラン『マノン』。シルヴィ・ギエム&ジョナサン・コープ、ダーシー・バッセル&ロベルト・ボッレ、タマラ・ロッホ&カルロス・アコスタの注目の3キャストで7日間の上演が予定されています。アシュトンの『リーズの結婚』と交互に上演されている時期なので、アシュトンとマクミランそれぞれが描く愛や叙情感の違いを大いに味わうことが出来るでしょう。
そのほか、興味深いレパートリーの復活としては、ニジンスカの『牝鹿』、マクミランの『レクイエム』と『春の祭典』。マクミランの『春の祭典』は、マクミランがモニカ・メイスンを見出した作品と言われています。オリジナル・キャストのモニカがその情熱を現在のRBダンサーに伝えるでしょう。 コンテンポラリー作品として、クリストファー・ウィールドンや初めてRBへの振付を手がけるクリストファー・ブルースの最新作も期待されます。
アシュトン作品は常にそのオリジナル・キャストたちを描いた肖像であり、いずれは世代が代わり新しい世代のダンサーがその役を引き継いでいくことをアシュトン自身あまり気にかけていなかったと言われています。そのオリジナル・キャストで作品を見ることはほぼ不可能となりました。彼らの多くは現役を引退し、指導者として活躍している現在、どのように彼らの中に生き続けるアシュトン魂が新しい世代のRBダンサーに継承されるのでしょうか。そしてその魂が私たち観客にどのように伝えられるのでしょうか。アシュトンが求めた個性と芸術性はテクニックだけで片付けることの出来ないもの。多くのダンサーにとって初挑戦が多くなるこの一年、RBダンサーの新たな魅力が見られること、そしてダンサーの怪我がすこしでも少ない一年であることを祈ります。シーズン開幕は10月22日です。 |
『白鳥の湖』

『マノン』 |
(スケジュール、上演作品、キャストは変更される場合があります。
詳細はロイヤル・オペラ・ハウス公式ウェブサイトをご参照ください。)
(訂正とお詫び)
Dance Cube 21号「英国ダンスロイヤルシート」に執筆いたしました文中の<2008年からのRB芸術監督に内定というニュースはRBファンの待ち望んだ発表となりました。>という表現は、8月3日付の「インディペンデント」紙の記事に基づいたものでしたが、これは「内定」ではなく「有力な候補の一人とされているようだ」といった意味に表現すべきものでした。私の適切でない表現により読者の方々にご迷惑お掛けいたしましたことをお詫び申します。
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| ※バックナンバー中の該当部分は修正させていただいております。 |
船引怜美 |
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