船引怜美 text by Remi Funabiki
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●ダンサーの身体と公演のスケジュールの問題
アリーナ・コジョカルの怪我のニュースは、日本にもショックを与えました(アリーナの怪我は長い間被っているもので、十分な休養が必要とされたと報告されています)。現在タマラ・ロッホの怪我も報告されていて、4月下旬のマクミラン『アナスタシア』のキャストに変更がありました。
以前からロイヤル・バレエで問題になっていることは、公演スケジュールとプリンシパル・ダンサーの怪我の関係です。ロイヤル・バレエはここ数年上演作品数が非常に多く、大変バラエティーに富んでいます。その一方でプリンシパル・ダンサーの怪我によるキャスト変更が非常に多いのは否めない事実です。どの作品にもキャストされるプリンシパルは同じで、アリーナやタマラなどの超人気プリンシパルは多くのコレオグラファーも起用したがり、カンパニー側も積極的にキャストに入れます。すると、3〜5プロダクションのリハーサルが同時に行われ、海外公演へのゲスト出演などが加わると信じられないほどの過密スケジュールになり、ダンサーに怪我などのリスクを必要以上にもたらす結果になります。特にアリーナは頑張り屋で有名で、ロイヤル・バレエのクラス以外にも、自らオープン・クラスに行ってレッスンをしている姿をよく見かけます(レッスン中も休むことなく、ずっと稽古場の隅で何かを練習しています)。
ロイヤル・バレエの2004/5シーズンも例年に増して、新作やここ数年上演されていなかった作品が多く挙げられています。劇場側の営利的意向、観客の要望も理解できますが、ダンサーの身体に何らかの配慮を施さない限り、ダンサーが直面する問題・危険はさらに増すばかりです。公演とリハーサル・スケジュール、トレーニング・プログラムの見直しが要望されます。
その現れとして、今回のアリーナの5月17日までの出演中止はダンサーの身体・ダンサーとしての将来を熟慮した上の判断と思われます。必死の思いをしてチケットを予約し、公演を心待ちにしている観客にとって、ダンサーの怪我によるキャンセルほど悔やみきれないものはありません。しかしそのダンサーの舞台を一生観ることが出来なるのではなくて、一回だけ逃すのだと、状況を理解するしかありません。
●ダンス・シアター・オヴ・ハーレム ロンドン公演
ダンス・シアター・オヴ・ハーレム(DTH)はニューヨーク・シティー・バレエ(NYCB)初の黒人プリンシパル、アーサー・ミッチェルが、キング牧師暗殺事件(1968年)をきっかけに1969年に設立したアメリカ初の黒人ダンサーによるバレエ・カンパニー。18ヶ月ぶりのサドラーズ・ウェルズ劇場での公演は、バランシン生誕100年記念として4つのバランシン作品とその他4作品が2週間にわたって上演された。
同時にITV(ローカルテレビ局のネットワーク)のアート・ドキュメンタリー番組「サウスバンク・ショウ」では、DTHの成り立ち、ダンスを通してハーレムという地域の文化発展がいかに行われてきたかなど、アーサーの教育にかける熱情がドキュメントされました。DTH専属バレエ学校の地域教育活動などがとりあげられていて、興味深いドキュメンタリーでした。
公演ポスター
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