佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki
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山名たみえダンスフレグランス2007『REAL』

 山名たみえを芸術監督として活動をつづけているコンテンポラリー・ダンスのグループ、カンパニーDeuxが、山名たみえダンスフレグランス2007として、『REAL』を上演した。
 今回の『REAL〜崩壊、再生、そして命の〜』は、生命の連関というか、<「生きている」事実と「生まれてくる生命」があるという真実>。そこにある連関のゆるぎないリアリティに、真正面から取り組んでいる。

 ダンスは、prologueから「名も無き悲しみ」「女たちの唄」「ある崩壊の風景」「再生の記憶」epilogue、といったシーンのイメージによって構成されている。
 冒頭は、深いブルーを基調として照明の中、舞台全体を覆う万国旗のような空疎な装飾が一挙に崩れ、人々の無節操な生き方が露になる。
 悲しみの唄が歌われ、男性ダンサー2人と女性ダンサー3人が、フレームだけの額縁を床に立てたり、手に持って踊る。特に速い動きではないが、全身を大きく使って彼らの喪失感の深さと大きさを表しているかのよう。そして、実際の妊婦が加わった3人の女性ダンサーが踊る。
 オレンジを基調としてシーンでは<神々の黄昏>的な情景が繰り広げられる。奇妙に歪んだ身体が激しく絡み合い、痴態が繰り広げられて精神の頽唐が描かれる。
 次のシーンでは、清らかに悠久に流れる水の音の下、人々が集って再生の喜びを表す・・・。

 全体にほとんどのシーンで、舞台の2カ所以上の空間で動きが創られ、それが同じになったり、まったく異なる動きになったりして舞台に緊張感を与えていた。
 通してみると、2元的な動きを構成して流れを創っている。種々に工夫された動きが随所にみられたが、私には「名も無き悲しみ」の動きが最も美しかったと思われた。


(10月11日、新国立劇場 小劇場)

mami dance space 2007-3『ひすい色のみず』

 流山児★事務所の舞台の振付でも知られる、北村真実が今年3回目の公演、『ひすい色のみず』を公演した。

 ダンサーは全員、一人ずつ微妙にデザインの異なったグレイの衣裳のトップとパンツを着ている。会場は地下1階ロビーにあるギャラリー風のホールで、やや細長く奥が深い不定形になっていて、中央にブリッジがある。下手には数本の太い円柱が立っていて、その間からもダンサーが出入りする。
 激しい動きはないが、フェミニンなタッチが混じり、時折、ダンサーがランダムに速歩で縦横に進む。すると、まるでルネ・マグリットの絵が動いているようなおもしろい効果が生まれた。そのほかにもドアやブリッジを上手く使って、会場の雰囲気とダンスを調和させて効果をあげた。

 北村のスローなソロや、古賀豊とのデュオが要所で折り込まれる。特に、北村と古賀のデュオは、力強く印象に残った。そのデュオを背景に、6人に女性ダンサーが一列に並んで、スローモーションでそれぞれの動きを見せながら、しだいしだいに前進し、観客席の寸前でストップするシーンはおもしろかった。
 男性ダンサーは中村しんじと古賀だけで、女性は北村の他に石巻由美、関口淳子など7名が踊ったが、入り組んだ空間に均質にダンスを配し、じつに無駄無く構成されていて感心した。振付が総じてスローな動きを特徴として構成されていることにも興味をひかれた。

 ロビーの感じを活かして、照明を抑え、仄かな光りを使い、全体に明暗が浮かび上がってくる、透明感のある空間を創っていた。


(Tokyo Design Center GALLERIAHALL)

新上裕也、西島千博、小林十市が振付に参加した『DANCE SYMPHONY』

 男性ダンサーばかり14名(ほかにUnder Cast2名)が踊り、Super gala dance revolution と銘打った『DANCE SYMPHONY』が上演された。ダンサーばかりでなく、演出・振付の新上裕也、振付の西島千博と小林十市、企画・制作・プロデュースの栫ヒロ、構成の荻田浩一、音楽の松本俊行まですべてが男性。わずかにスーパーディレクションの名倉加世子が紅一点だった。
 ダンサーは新上、西島の他に、トロカデロ・デ・モンテカルロ・バレエ団に日本人として初めて入団し、「セブン・サムライズ」などにも出演している名取寛人、『レ・ミゼラブル』に出演するなどミュージカル、ストレートプレイなどでも活躍し、「DIAMOND☆DOGS」のリーダーのリーダーである東山義久ほかが出演している。

 男性ダンサー同士のお決まりのような掛け合いも多少あるが、タイトル通りあくまでシンフォニックなダンスを構成しようと徹底していた。 「プレリュード」(新上、小林/振付)第1楽章『夏』(新上、西島/振付)第2楽章『秋』(新上/振付)第3楽章『秋〜冬』(新上、西島)第4楽章『再び春』(西島、新上)エピローグ・フィナーレという構成だった。

 バレエからポピュラー・ダンス、ヒップホップまで、様々なジャンルで活躍してきたダンサーをひとつの舞台に載せて、こうしたシンフォニックなダンスを創ることは、なかなかたいへん苦労が多かったと思われる。しかし、生硬さを感じさせることなく、巧みに統一感を持たせて仕上げている。やはり、振付家にもダンサーにも、キャリアに裏打ちされた実力があったからに違いない。
 バレエダンサーのバランス感覚が要所を抑え、そのほかのダンサーたちのエネルギーをうまく活かして流れるように華やかに創られたダンス・シンフォニーだった。新上はもちろんだが、「言い出しっぺ」らしい西島や人気の東山などが光っていた。


(10月20日、天王洲 銀河劇場)

 

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