松山バレエ団の「The Japan Ballet」
森下洋子の舞台生活55周年を記念する「The Japan Ballet 2006」の公演が行われた。
まずは、松山バレエ・スクールの生徒たちがバレエ団のダンサーたちと一緒に踊る『夢の王国』。リヒヤルト・ワーグナーの音楽を使って清水哲太郎が振付けた、オープニングにふさわしい華やかな踊りである。
続いて『ラ・バヤデール』の影の王国のシーンである。幻影の中に、コール・ド・バレエが次々と舞台に登場する有名なシーンから始まる。コール・ドはよく整っていてきれいだったが、全体に少しだけ元気が良過ぎる気もした。
倉田浩子がたいへん丁寧にニキヤを踊り印象深かかった。ただ、このシーンのニキヤは既に死んでおり幻影に過ぎない。現世では愛する人と一緒になれず、今やっと幻影として踊っている、という孤高の悲劇を踊りの身体からもう少しはっきり感じとらせてほしい、そんな気もした。ソロルを踊った鈴木正彦は機敏に踊ったが、やはり感情の混乱の中で愛する人と共にいる、という屈折した喜びをもう少しだけ表してほしかった。 |
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最後は『ライモンダ』の第3幕だった。豪華絢爛の舞台につぎつぎとソリストたちの踊りが繰り広がられる。ライモンダは森下洋子、ジャン・ド・ブリエンヌは清水哲太郎である。二人の素晴らしいパ・ド・ドゥを、充分に堪能することができた。
(9月17日、ゆうぽうと簡易保険ホール)
小林紀子バレエ・シアターの『レ・シルフィード』ほか
小林紀子バレエ・シアターの第85回公演では、『レ・シルフィード』(フォーキン振付、ショパン音楽)『ソリテル〜ひとり遊び〜』(マクミラン振付、マルコム・アーノルド音楽)『パキータ』(プティパ振付、ミンクス音楽)が上演された。
『レ・シルフィード』は、曲想とバレエの構想がしっかりしており、フォーメーションの構成やアンシェンヌマンも充分に工夫されているので、美しい舞台が創られる。「ノクターン」「マズルカ」「ワルツ」を踊った島添亮子の神経の行き届いた繊細な動きが素晴らしかった。ゲスト出演したアメリカン・バレエ・シアターのプリンシパル、ディヴィッド・ホールバーグも落ち着いた踊りで、特にワルツが素敵だった。 |
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『ソリテル』は、アーノルドの「8つのイギリスの踊り」と新たに作曲された2曲を使って、少女の空想の中にわき上がる様々の情感を表す踊りがつぎつぎと踊られる作品。少女を主人公にしていいる同じマクミランが振付けた『The Invitation』のような深刻な表現は、この作品にはまだない。思春期にまでも到らない子供の世界である。子供の世界だが、そこには近代的自我となる芽のようなものも感じられる。ちなみにアーノルドは、大ヒットした「クワイ河マーチ」で知られる映画『戦場に架ける橋』の音楽の作曲者である。
『パキータ』は、ゴールドが幾重にも重ねられたきらびやかな背景が、豪華絢爛の雰囲気をだしている。(美術/ピーター・ファーマー)。小林紀子バレエ・シアターのコール・ド・バレエはたいへんよくなっている。恐らく一人一人の音楽性が高まってきたのだろう。全体の流れが滑らかになり、ステージの情景が美しくなっている。ホールバーグはケレン味のなく、無駄のないきれいな踊りを見せた。
(9月19日、ゆうぽうと簡易保険ホール) |
「レ・シルフィード」 |
「ソリテイル」 |
「パキータ」 |
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