ニキヤとソロルが愛を誓う高揚感あふれるデュオと、幻影となったニキヤとソロルの慈しみに満ちたデュオが好対照を成したのを始め、ソロルをめぐるガムザッティとニキヤの確執を、アレクサンドロワとグラチョーワが体を張ったような演技と振りで現前させた。婚約の宴で、アレクサンドロワが力強い跳躍や安定した回転技を誇示すれば、グラチョーワは花篭を手に、たおやかな舞いに複雑な情感を漂わせて悲しみを誘った。ネポロージニーは、ガムザッティの美しさに惹かれ、権力に逆らえずに彼女と婚約する弱さを自然体で演じ、しなやかな跳躍や流れるような回転技を鮮やかにこなし、端整な踊りで魅了した。
ほかにも苦行僧らの野趣あふれる群舞や、跳躍で見せる黄金の神像(岩田守弘)のソロ、ダイナミックな太鼓の踊り、「幻影の場」の静謐な群舞など、多彩で楽しませた。この版にはソロルとガムザッティの結婚式はないが、「神殿崩壊」は用意されていた。夢から覚めて神殿で許しを乞うソロルに対し、神は怒りで神殿を崩壊させ、ソロルも死ぬが、その魂がニキヤの幻影に導かれていくラストに救いがこめられていた。
(5月4日夜・東京文化会館) |
「ラ・バヤデール」5/3公演より
ザハーロワ&ツィスカリーゼ |