小林紀子バレエ・シアターがアシュトンの『レ・ランデヴー』、マクミランの『ソワレ・ミュージカル』、プティパの『ライモンダ』第3幕を上演した。
『レ・ランデヴー』は昨年初演した舞台をアシュトンの生誕100年を記して再演、『ソワレ・ミュージカル』は英国以外では初めての上演、『ライモンダ』はジュリー・リンコン、パトリック・アルマンによる新制作である。
公演の趣旨は、アシュトン、マクミラン、プティパが振付けたクラシック・バレエの舞台を見比べて楽しんでもらいたい、とのこと。
アシュトンの『レ・ランデヴー』から幕が開いた。まず、白い公園の大きなゲイトと青空に白い小さな雲が浮かんだセットの、晴れ晴れとした思いきったモダンな感覚が印象的。美術は1933年の初演のウィリアム・チャペルである。チャペルは『レ・パテヌール』などアシュトン作品の美術家だが、カマルゴ・ソサイアティ時代にはダンサーとしても活躍し、『ファサード』などのオリジナル・キャストでもある。
ダンスは、社交界にデビューする若いカップルの、新しい世界への期待に胸が膨らむ初々しい感覚を、ピンクのリボンの女性ダンサーとブルーのリボンの男性ダンサーが鮮やかなコントラストを描いて踊るもの。音楽はダニエル・オーベール。
アシュトン作品は、ダンスが描く美に対する確信に満ちた構成が感じられる。女王陛下を敬愛し奉仕することにより、英国人の優れた気質が顕現するように、おおらかな情感が謳われる作品が創られているのである。
マクミランの『ソワレ・ミュージカル』は、ニネット・ド・ヴァロワの90歳の誕生日を祝って、まだ熊川哲也などが学んでいた1989年のロイヤル・バレエ・スクールに振付けられた。音楽はロッシーニを主題としてベンジャミン・ブリテンが編曲、「マーチ」「カンツォネッタ」「チロレーゼ」「ボレロ」「タランテラ」で構成されている。
ダンスは、赤い衣裳のダンサーとブルーの衣裳のダンサーがメイン。全員のアントレから始まって、スローなパ・ド・ドゥ、男性の軽快なパ・ド・カトル、静かな感じの女性ソロのヴァリエーション、全員のフィナーレ、とスピーディに展開する。おもちゃの兵隊のような衣裳が可愛らしかった。
マクミランが目指しているのは、クラシック・バレエの豪華できらびやかな美ではない。つぎつぎと舞台に繰り広げられるミュージカル・シーンの光芒が織りなす流麗な、カンバスに様々に色を塗り重ねて現れる美しさ、とでもいったらいいのだろうか。
『ライモンダ』は美術を一新した新制作。ジャン・ド・ブリエンヌは、ニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパル、ロバート・テューズリー、ライモンダはこのカンパニーのプリマ、島添亮子である。
白を基調とした限りなく華やかな装置と衣裳が輝かしく、ハンガリアン・ダンスなどの民族舞踊とクラシック・バレエの踊りが美しく豪華に融合した舞台である。島添の堂々とした踊りが目をひく。コール・ドを従えていっそうスター性を感じさせる舞台であった。叶うことであれば、モダンダンスを踊ることなく、クラシック・バレエ一筋に素晴らしいバランスを生かしてほしいのだが。
小林紀子バレエ・シアターは、一貫して上質な英国バレエをプログラミングして上演している日本では貴重なバレエ団である。今回のトリプルビルも味わい深いものであった。さらに、今日リアルタイムで上演されている英国流バレエのテイストも味わってみたい、と思うが、これは観客の贅沢であろうか。
(7月29日、新国立中劇場) |
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「レ・ランデヴー」 |
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