関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi

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●りゅーとぴあのダンス・カンパニー、Noism04の第1回公演『SHIKAKU』

 金森穣が芸術監督となった新潟のりゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)のレジデンシャル・ダンス・カンパニー、 Noism04の第1回公演が、りゅーとぴあ劇場と新宿・パークタワーホールで行われた。

 客席をすべてとりはらったホールの空間をいくつかの部屋と通路に区切る。白一色の間仕切りにはあちこちに窓があるから、通路から部屋を覗くことができる。 すべてベージュ一色の衣裳を着け、髪の毛も同じ色に染められているダンサーたちは、部屋や通路に散らばっていて、移動しながら踊る。 観客もチケット代の元をとろうとばかり、ダンサーの後を追い掛け回す。

 みんなが動き回って会場はまるで見せ物小屋のよう。時折みかけるパターンだが、大衆芸能で発達してきた仕掛けを用いたパフォーマンスである。 観客も固定椅子に腰掛けてみるより、走ったり歩いたり移動しながらみなければならないので却ってエキサイティングだろう、と思っていると、間仕切りがいっせいに天に上がってしまった。 遮られていた視界が一気に開け、またまたエキサイティング。

 ダンスは、会場内に一個の赤いポストが据えられていて、ダンサーはそこでメールを受け取ると、踊りのシステムが同時多発的に変更される。 また、ダンサーの数だけ、アルファベットや数字が記された白い箱があり、それが集められると記号が組み合わされてシステム展開のキーワードにもなるらしい。

 ダンサーの全身が一色に統一され、システムに応じて速い動きをみせるので、観客はまるで忍者屋敷にでもいるような感覚を味わう。 現代的でメカニカルな作品だが、最後は赤い糸をたどるとウエディングドレスがあり、未来を暗示して終った。 テロルと宗教性に支配されている現代の様相を映したダンス、というべきか。(6月19日、パークタワーホール)

●柳家花緑のバレエ落語の会に実兄の小林十市登場

 柳家花緑は落語家柳家小さんの孫で、兄はベジャール・バレエ・ローザンヌのプリンシパル・ダンサー小林十市。 祖父に入門して研鑽を積み、94年に真打ちに昇進を果たす。自他共に認める落語界一のバレエ通で、公演通いは年間100回を超えるほど。 趣味と実益と環境を生かして、クラシック・バレエの物語を江戸の世界に再現するオリジナル落語「ジゼル」「ロミオとジュリエット」「白鳥の湖」「じゃじゃ馬ならし」などを次々と発表している。

 今回は「花緑のバレエものがたり」と題した会を開き、「ジゼル」を題財にした落語「おさよ」の一席と小林十市をゲストに招いてスペシャルトークショーを行った。 兄の十市を国際電話口に呼び出して、まるまる一話を語って意見を聞き、練りに練り上げた「おさよ」。なかなかおもしろかった。とくに2幕の幽霊界のお話は秀逸で大いに笑える。

 花緑師匠の話芸を堪能した後はピアノ。「花緑のピアノばなし〜じゃじゃ馬ならし」などのCDも出しているし、芸人の隠し芸大会などでサティやドビュッシーを披露するほどの腕前である。

 一方、ゲスト出演の小林十市は、本格的な居合の手並みをみせた。祖父の小さんが高座に上がったとき、とても落語家とは思えない二の腕をもっていたことを記憶されている方もいるかもしれない。 そう、小さん師匠は剣道の達人だった。十市の居合は、祖父直伝なのである。(6月6日、スパイラルホール)

 

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