渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe
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パリ・オペラ座でガロッタ振付『ノスフェラチュ』再演

 ジャン=クロード・ガロッタが、吸血鬼をテーマに、2001年、オペラ座のために振付けた『ノスフェラチュ』が5年ぶりにパリ・オペラ座バスティーユで再演された(5月6〜13日)。

 音楽は、パスカル・デュサパン作曲の『EXTENSO』に始まり、『WATT』『CELO』『APEX』と続く4曲で、ベルンハルト・コンタルフスキー指揮のパリ・オペラ座管がピットに入って演奏するという、オペラ座としては力を注いだ公演には違いなかっただろうが、新たな印象を残すには至らなかった。

 日本の寺院の境内をほうふつとさせる、太い柱で囲まれた舞台に、ふとニコラ・ル・リッシュの『カリギュラ』の舞台が思い出されたが、装置家は同じダニエル・ジャンヌトーである。 
 薄暗い舞台に、吸血鬼をほうふつとさせるジョゼ・マルティネズが忽然と現れ、長髪を振り乱して舞台を徘徊するところから、作品は始まる。劇的要素が薄く、ほとんど抽象的なダンスで構成されているため、マルティネズの存在や性格が不明瞭で、せっかく雰囲気が出ているところ、山場がないので、発展なく終わってしまうのが惜しい。

 最後に、コール・ド・バレエが全員倒れ、マルティネズとジュリエット・ジェルネズのみが残る。ガロッタは、現代のドラキュラを通して何を言いたかったのだろうか。最後まで謎めいた印象を残して作品の幕は降りる。
 しかし、ソリストはなかなかぜいたくだった。ミテキ・クドー、アリス・ルナヴァン、ジル・イゾアール、キム・ヨンゴルらがそれぞれが個性的で、速いシェネなどの動きがきりきりと暗い舞台に映える。ダンサーの健闘をたたえたい。

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パリ・オペラ座<若手舞踊手たち>

 恒例のパリ・オペラ座バレエ団<若手舞踊手たち>公演が、5月23日から3日間、ガルニエで行われた。今回は、全体に若いダンサーたち適したレパートリーが選ばれ、プログラムが進むにつれて、見応えが増していった。

 まず開幕の『パキータ』の抜粋に続いて、『眠れる森の美女』より青い鳥のパ・ドゥ・ドゥを踊った、オーバン・フィルベール(17歳)とマティアス・エマン(19歳)のペアがすがすがしいパートナーシップで拍手を浴びた。ジャン=ギヨーム・バール振付のバランシン風の『ベルガマスク』を、エレオノール・ゲリノー(17歳)を相手に踊ったマルク・モロー(19歳)も颯爽としてなかなかの逸材。続くジョゼ・マルティネズ振付『ドリーブ組曲』では、マチルド・フルステー(20歳)とジョシュア・オファルト(22歳)が技巧がちりばめられたパを粋に踊りこなし、未来のエトワールとしての器量を十分に感じさせた。

<青い鳥>


<ベルガマスク>
 ヌレエフ版『白鳥の湖』の3幕のパ・ド・トロワでは、ローラン・イレールの指導の下、アリス・ルナヴァン(25歳)、ヴァンサン・シャイエ(21歳)、セバスチャン・ベルトー(24歳)の3人が気を吐き、とりわけ、ルナヴァン演じるオディールは、堂々としたもので、次期プルミエール昇進も夢ではなさそうだ。

 しかし、当夜の白眉は、最後に登場したローラ・エケ(22歳)とオードリック・ベザール(24歳)のバランシン振付『ジュエルズ』より『ダイヤモンド』のパ・ド・ドゥであった。エケは、シルヴィ・ギエムに似た面影を持ち、恵まれたプロポーションで、輝くような美しさ。近い将来、エトワールになる可能性を十分に秘めている。

 10数年前とは、状況が変わったとはいえ、20代前半のダンサーを中心に若い才能が着々と育っていることが実感された新人公演だった。



<ドリーブ組曲>

<黒鳥のパ・ド・ドゥ>

<黒鳥のパ・ド・ドゥ>

<ダイヤモンド>
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