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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe
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シネマテックでヌレエフ主演の『マルコ・スパダ』上映

 3月17日のヌレエフの誕生日にちなんで、毎年シネマテック・ド・ラ・ダンスでは、この世紀の天才舞踊家を偲ぶ催しを企画しているが、今年は、3月13日転居したばかりのベルシーの建物で、<ルドルフよ永遠に>と題して、ヌレエフが主演したラコット版『マルコ・スパダ』の珍しい映像を公開し、満員のファンを興奮させた。

『マルコ・スパダあるいは盗賊の娘』3幕のバレエ・パントマイムは、オーベール曲、マジリエ振付で、1857年にパリ・オペラ座で初演されたが、これを復活させたのがラコットで、1981年ローマ歌劇場で復活初演。キャストは、盗賊のスパダがヌレエフ、その娘アンジェラがギレーヌ・テスマー、アンジェラの恋人フェデリチがミカエル・ドナール。同じ顔ぶれによる舞台を翌年の1982年、やはりローマ歌劇場で中継した(RAI放映)のがこの映像で、3大スターの夢のような顔合わせに客席からしばしば拍手がわき起こるほどだった(テスマーとドナールは会場に姿を見せていた)。テスマーによれば、この舞台の頃、ヌレエフは原因は分からないが、体の不調を訴えていたという。それでも、第1幕の広場で踊られるソロのバネのある踊りは素晴らしいし、怪盗ルパンを思わせる陽気なキャラクターは、ヌレエフにぴったり。確かこの翌年パリ・オペラ座で中継録画された『ライモンダ』でジャン・ド・ブリエンヌを踊っていたヌレエフは、かなり衰えが目立っていたが、このスパダは全盛期の延長にあるかのようだ。

 なおこのラコット版がオペラ座のレパートリーに入ったのは、1984年のことで、シリル・アタナソフ、ヌレエフ、パトリック・デュポン、テスマー、モニク・ルディエール、フロランス・クレール、クロード・ド・ヴュルピアン、ヤニック・ステファン、ドナール、ジャン=イヴ・ロルモー、オリヴィエ・パテ、ジャン=ピエール・フランケッティ、パトリス・バール、ジョルジュ・ピレッタらが交替で出演した。それ以来、スパダの冒頭のソロが、オペラ座の進級試験で踊られるほか、オペラ座では上演されていない(ラコットが監督を務めたナンシー、モンテカルロでは上演)。いつか再演のチャンスが訪れるとうれしい。


オペラ座ダンサーたちの顔見せ、ニルス・タヴェルニエ監督『オロール(オーロラ姫)』

 既報のように、映画『オロール(オーロラ姫)』が3月22日から封切りになった。映画自体は、踊りに夢中な王女を中心にした空想的なストーリーだが、王妃が側近に毒殺される辺りから、悲劇的なムードが濃くなっていく。童話の背後に隠されている残酷な側面をあえて引き出したかのように。
 もっともストーリーがどうであろうと、この映画からは、監督のオペラ座バレエ団に対する愛着の強さがひしひしと伝わってくる。これだけオペラ座のダンサーたちが出演している映画も珍しいが、全くオペラ座のダンサーたちのために作ったような感さえある。

 まず主役のオーロラ姫に扮したマルゴ・シャトリエからプロフェッショナルな踊りを見せてくれるのがうれしい。彼女はオペラ座バレエ学校の2年生で、ブロンドが美しく、カールソンの振付を優雅に踊っている。
 そして、王女が恋心を抱く肖像画家バンジャマンを演じたニコラ・ル・リッシュの存在感がなかなかのもの。監督は彼のためにこの役を考えたそうだが、気どらず自然体で画家に扮したル・リッシュがアトリエに佇む姿が絵になる。
 王女に求婚するアブダラ王子にカデール・ベラルビ、ヌフシャテルの王子にヤン・ブリダール。なおジパングの王子には、竹井豊が扮し、山海塾のような舞踏を王女に見せるので驚かされるが、これは王女の運命を暗示しているのだという。また王女を天に導く妖精役にメラニー・ユレルが扮している。

 さらに舞踏以外のダンス・シーンでは、オペラ座バレエ団が大活躍。オリエンタル・ダンスを妖艶に踊るマリ=アニエス・ジローがひときわ輝いているが、群舞の中にブルーノ・ブシェ、アリス・ルナヴァンなどオペラ座のダンサーたちの姿が入れ替わり立ち替わり見られるのはファンにはたまらないだろう。
 この映画のロケには、『眠れる森の美女』の舞台となったユッセのシャトーが使われており、おとぎの世界の雰囲気を忠実に伝えている。

 

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