こんにちは。日本は40度を越す猛暑のところもあったそうですが、皆様はお元気ですか?ニューヨークは、今年は夏らしい暑い日はわずかで、涼しい日が続いていました。今年は異常気象ですね。
ニューヨークは、8月半ばからしばらく夏期休暇を取ってクローズする劇場がいくつかあります。コンテンポラリー・ダンスの殿堂であるジョイスシアターもそうです。そのため、今月号では、引き続きリンカーンセンター・フェスティバルのレポートと、ぺリ・ダンス・スクールの創始者の、イガール・ペリーのインタビューをお届けします。ぺリ・ダンス・スクールには、毎年多くの日本人学生が留学しています。
シェン・ウェイ・ダンス・アーツの京劇とダンスのアレンジ
毎年夏に行われるリンカーンセンター・フェスティバルに招聘されて、7月24日、28日、29日に、シェン・ウェイ・ダンス・アーツの『セカンド・ビジット・トゥー・ザ・エンプレス』の公演が、ニューヨーク・ステート・シアターで行われました。
シェン・ウェイは、毎年のようにリンカーンセンター・フェスティバルに招聘されていて、過去にこのコラム内でも何度かレポートしました。中国の江南(Hunan)出身で、9歳からチャイニーズ・オペラ(京劇)を学び始め、1995年にニューヨークに引っ越してきました。2000年に自身のダンスカンパニーであるシェン・ウェイ・ダンス・アーツを立ち上げ、様々のダンスの賞を受賞してきました。
シェン・ウェイはダンサー、振付家、画家、デザイナーであり、今回のこの公演でも、舞台監督と振付、舞台セットとコスチュームデザインを彼が手がけています。
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| 『セカンド・ビジット・トゥー・ザ・エンプレス』 |
この作品は、今まで彼がニューヨークで上演した作品とは全く違って、京劇色が大変強いものでした。すべての音楽と歌詞は、北京オペラ(京劇)のクラシック名曲集からのものです。すべて中国語でした。音楽は、17人の中国楽器の音楽家たちがオーケストラ・ピットで演奏しました。
ベースが京劇なのでキャストは4人で、中国語のオペラを歌い演じていました。ヨーロッパのオペラとも少し似ているように感じました。頭の上から高い声を出すように歌っていました。4人とも中国では京劇の第一線で活躍している方々で、ジェニファー・ティプトン、デン・ムー・ウェイ、ヘー・ウェイ、ソン・ヤンです。
ダンサーたちはシェン・ウェイ本人も含めて12人でした。4人のキャストが京劇を歌って演じている周りで、ダンサーがその背景のように踊りました。ダンサーの衣装は全員薄いグレーの長そでと長パンツの上下で、顔は白塗りで、あまり目立たないように背景に溶け込むかのように地味に抑えられていました。それとは対照的に、京劇のキャストの4人は、日本の歌舞伎のような独特な京劇の化粧で、衣装も豪華絢爛で、派手な色彩のものでした。全体的に、舞台のデザインは現代風にアレンジされていました。
ダンサーたちは、シェン・ウェイ独特の、体の動きが全部ズラズラとつながったような不思議な振付けで踊っていました。
日本人ダンサーも日本語も登場したマルセイユ・バレエ団『メタポリスU』
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| 『メタポリスU』 |
リンカーンセンター・フェスティバルに招聘されて、7月25日、26日、27日に、マルセイユ国立バレエ団の『メタポリスU』の公演が、ニューヨーク・ステート・シアターで行われました。芸術監督はフレデリック・フラモンです。プロダクション・デザインは、気鋭の女性建築家のザハ・ハディットです。この作品は、コンセプト作りの段階から、彼ら2人の共同作業で作られたそうです。
遠藤康行(ソリスト)、宮沢身江、加藤野乃花などの日本人ダンサーも出演していました。
コンテンポラリー・ダンスですが、クラシック・バレエをベースにした表現もあり、時々トウシューズが使われていました。全体に、都市の様々なシーンを切り取って、前後の脈絡なしで次々とつなぎ合わせて、展開し続けていくという感じの作品で、速いテンポで、目まぐるしく衣装も振付も背景も変わっていきました。ヴァイオリンの生演奏も登場したり、女性ダンサーが数名、半裸で踊るシーンなどもありました。
舞台いっぱいのサイズの大きなスクリーンに様々な画像が映されたり、舞台上にカメラが設置されていて、ダンサーがその場で撮影されてその画像が映っていました。
舞台セットの方は建築家らしいものも登場して、地引網のような、蚊帳のような薄い網や、立体的なアーチ状になった坂のような大きい台が3個重なって出てきました。ダンサーたちはそれぞれ、その上や横、下で動き、その台を縦向きにしたり横向きにしたり、バラバラにしたり少しずつずらして動かしながら、台を最大限に舞台上で動かして使っていました。
途中で流れるナレーションでは、日本語が多用されていましたので驚きました。このバレエ団の出演者には3名も日本人がいますし、ナレーションも日本語が多いし、日本人をエキゾチックなアクセントとして有効に使っている印象を受けました。
モンゴリア:ミュージック、ダンス&バラード
モンゴリアのコンサート&ダンスもリンカーンセンター・フェスティバルに招聘されていて、7月23日から28日までクラーク・ストゥーディオ・シアターで公演がありました。
とても小さなシアターで、客席も少なく、舞台上にモンゴル民族の人たちが8人、横1列にイスに座って、歌と演奏と踊りを繰り広げていきました。舞台の上手端の小さなスクリーンに英語の字幕が映りました。出演者の衣装も楽器も、モンゴル民族独特の伝統的なものでした。出演者はみんな、とても親しみやすい感じの方々で、楽しそうにニコニコしながらパフォーマンスをしていました。観ているこちらもほほえましく感じました。
ダンスのことはモンゴルではBiyelgeeと言って、上半身、胸、頭の動きで表現します。肩と腕の調和された動きが特色だそうです。
ダンス一つ一つには意味があって、例えば、先祖の霊たちを敬う儀式の踊りや、鷲や馬の踊り、若い男性を表した踊りなどです。踊っていたのは男性ダンサーたちで、その中にはとてもお年を召した老人もパフォーマンスしていたので驚きました。
このような本格的な民族舞踊を観る機会はめずらしいですが、そのお陰で、踊りとは太古の昔から音楽と共に生活の中にあったものなのだと再確認できました。ご先祖を敬うことも、身体で踊って表現して、儀式として捧げていたのですね。踊りは、決してダンサーたちだけが踊る特別なことではなく、本来は太古から生活の中に溶け込んで日常的にあったものなのだと思います。
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