ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA >>WEBサイトはこちら
※写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。

皆様、こんにちは。
ニューヨークは、まだまだ寒さが続いています。今日も雪が積もっています。今年は暖冬だったので、やっと寒くなってきてかえってほっとしましたが、短い冬になりそうです。春はもう、すぐそこまで来ています。
 さて今月は、素晴らしい公演が目白押しでした。拝見した公演で書ききれないものは、来月に分けてレポートをお送りします。


ニューヨーク・シティー・バレエのロビンスのプログラム

 1月3日から2月25日まで、ニューヨーク・ステート・シアターにて、ニューヨーク・シティー・バレエの冬の公演が行われていました。
私が観た公演は、1月24日の、「ジェローム・ロビンス:アン・アメリカン・アイコン」です。全てジェローム・ロビンス振付作品の小品集です。この日は、ロッド・スチュアートが夫妻で観劇していました。あのまんまのヘアスタイルで来ていたのでとても目立っていましたが、ニューヨークなので珍しいことではなく当たり前なので、誰も彼に声をかける人がいませんでした。ニューヨークは、著名人であっても伸び伸びと羽を伸ばして出かけることが出来る街なのでしょうね。


「イン・メモリー・オブ・・・」
『2&3 パート・ イノベンションズ』は、とても個性的で面白い振付でした。ソロやペア、3〜6人くらいの群舞が移り変わっていき、草原で飛び回って遊んでいるような感じの踊りでした。楽しそうな振付でよかったです。手の平を外に向けて踊るような、クラシックの中にもコンテンポラリーの要素が盛り込まれていました。

『ア・スイート・オブ・ダンスズ』もとても個性的な振付でした。音楽にあっていました。遊んでいるような、やんちゃで楽しそうな振付です。

『イン・メモリー・オブ・・・』は、チェロが1台舞台上に置かれ、女性がチェロを演奏して、生演奏の音楽に合わせて男性ダンサーがソロで踊りました。2人で顔を見合わせながら、会話をするように踊っていました。

『アイ’ム オールド・ファッションド』は、とてもエレガントな振付でした。シアター風で、演技をしているような踊りでした。とても印象に残ったのは最後の終わり方で、男性ダンサー2人と女性1人が3人で踊っていて、男性2人に女性がリフトされて、空中で足をこいでいるように動かしながら、そのまま男性たちはゆっくり歩いて幕間に消えていきました。

ハンブルク・バレエ団のノイマイヤー振付『ベニスに死す』


ノイマイヤー振付
「ベニスに死す」
 2月7日から10日まで、BAMにて、ハンブルク・バレエ団の『ベニスに死す』の公演が行われました。チケットはソールドアウトでした。久しぶりのハンブルク・バレエのNY公演だったので、観劇するのをとても楽しみにしていました。日本人ダンサーは2人いて、大石ユカ、草野ヨウスケです。

 芸術監督、振付は、ジョン・ノイマイヤーです。彼は、この作品で、衣装デザイン、舞台デザイン、ライティングデザインのコンセプトも手がけています。とても才能あふれる方ですね。彼についての経歴や情報は、以前のハンブルク・バレエNY公演のレポートに記述しましたので、詳細は省きます。天才と称される振付家の一人です。

 舞台セット、振付、演出の構成ともに素晴らしい作品でした。振付家が主人公なので、レッスン場は、舞台上に壁が2重に置かれていて、奥に大きな鏡の壁、手前に左右に分かれてその鏡が見えるように白い壁が重なっていました。奥の大きな鏡の壁に、ダンサーたちが次々に映っていくのですが、私たちの客席奥のほうまでがその鏡に映っていて、不思議な感じで面白かったです。美しい場面でもありました。使われている音楽も素晴らしくて、バッハとワグナーの古典でした。ハープシーコードの音色が中心のバロック音楽です。

 ベニスの場面では、舞台後ろの壁に、水面に浮かぶ木の枝(柱)が数本描かれ、それだけでベニスの様子を表現していました。シンプルでもよかったです。
 振付も素晴らしかったです。クラシックバレエベースですが、個性的でした。
 ベニスで最後に主人公の振付家が死んでいくシーンでは、おそらく死神のような2人組の男性がブドウを持って現れ、それを彼に渡しました。だんだん、振付家の白いシャツの前はブドウがつぶれてきて色がたくさんついていきます。その様子が、まるで血まみれになっていくように見えました。いいアイデアだと思いました。
 その彼の周りでは、トラ柄の下着のような短い衣装をつけた大勢の男女が、後ろの方でかたまってうごめいたり踊っていて、まるで死神の幻や影絵のようでした。死にゆく雰囲気がよく出ていました。


ノイマイヤー振付
「ベニスに死す」


ノイマイヤー振付
「ベニスに死す」


「スターズ・オブ・ザ・21st・センチュリー」インターナショナル・バレエ・ガラ

 スターズ・オブ・ザ・21st・センチュリー、インターナショナル・バレエ・ガラが、2月12日に、ニューヨーク・ステート・シアターで行われました。毎年行われるもので、とても楽しみにしていました。ニューヨークを皮切りに、パリ、カンヌ、トロントでも開催されます。世界中の一流バレエカンパニーから、プリンシパルばかりが12名勢ぞろいして、1晩でそれを観ることが出来る、夢のような共演です。演目も、もちろん、世界中の素晴らしい振付家が振付けた作品ばかりを色々と同時に観ることが出来るいい機会です。チケットはソールドアウトで、当日入り口前では、当日のチケットをお客さんから求めようとする人々でごった返していました。立っていると、「チケット余っていませんか?買います!」と言う人たちがたくさん寄ってきたほどです。

 プログラムの一部には変更がありました。ミュンヘン・バレエ団のダンサーはケガのため不参加になり、代わりにベルリン国立バレエ団からロナルド・サフコーヴィッチが参加しました。中村祥子も参加の予定でしたが中止になり、彼一人のソロとなりました。音楽は全て録音だったので、少し残念でした。

 第一部の演目は、ニューヨーク・シティー・バレエからアシュレイ・ボウダー、ホアキン・デ・ルスが『スターズ・アンド・ストライプス』のパ・ド・ドゥ。2人とも、ずっしりとした安定感のある踊りでした。ボウダーはてきぱきとした動きで踊るキャラクターでした。


「ディアナとアクティオン」
マトヴィエンコ

ハンブルク・バレエ団からシルヴィア・アッツオーニ、パリオペラ座からバンジャマン・ペッシュが『椿姫』の第二幕のパ・ド・ドゥ。アッツオーニの踊りはとても可憐で小鳥のように繊細な感じでした。細かいところまで、身体の隅々まで神経が行き渡っています。素晴らしく、観客は静まり返っていました。草原かどこかで戯れているような、ロマンティックな振付でした。2人ともとても息があっていたので驚きました。

ベルリン国立バレエ団からロナルド・サフコービッチのソロで『ジャック』。すごくカッコよかったです。エレクトリック音楽で、とても現代的なコンテンポラリーの振付でした。とても足が長いダンサーです。不思議で、不気味な感じの作品でした。

マリインスキー・バレエ団からオレーシャ・ノヴィコワ、レオニード・サラファーノフが、『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』。

英国ロイヤルバレエ団からアリーナ・コジョカル、ヨハン・コボーが、『マノン』のパ・ド・ドゥ。コジョカルがとても大人っぽく見えました。可憐な少女のような印象が大きかったので、余計にそのように感じました。さすが、すごく息の合った踊りです。

コンプレッションズからデスモンド・リチャードソンのソロで『ムーンライト』。黒人ダンサーで、コンプレッションズのディレクターです。恵まれた肉体で、素晴らしかったです。コンテンポラリーです。

キエフ・バレエ団からアナスターシャ・マトヴィエンコ、キエフ・バレエ団のプリンシパルでボリショイ・バレエ団のゲストソリストでもあるデニス・マトヴィエンコが『ディアナとアクティオン』パ・ド・ドゥ。夫妻で、息の合った踊りでした。アナスターシャは手にコメットのような小さな星が先についた棒をもって踊りました。デニスはヒョウ柄の短いターザンのような衣装でとてもワイルドで、ジャンプしながら右足を前に伸ばしてそれを内側に向けて1周回転させてから着地するという大技を繰り返し、会場をどよめかせていました。これには私もびっくりしました。彼は、ピルエットも着地せずに一回で7回転も連続で軽々とやったので、これにもびっくりしてしまいました。5回転が限度だと思っていたので。


「スターズ・アンド・ストライプス」
ボウダー、デ・ルス

「ムーンライト」
デスモンド・リチャードソン

「ディアナとアクティオン」
マトヴィエンコ

 第二部の演目は、ハンブルク・バレエ団からシルヴィア・アッツオーニ、パリ・オペラ座からバンジャマン・ペッシュが『ロミオとジュリエット』のパ・ド・ドゥ。

コンプレッションズからデスモンド・リチャードソンのソロで、『ショウマン’ズ グルーヴ』コンテンポラリーで、スウィングかビバップのジャズにのったものです。

それからアナスターシャとデニスのマトヴィエンコ夫妻が踊った『ラディオとジュリエット』がとても面白い振付でした。コンテンポラリーです。アナスターシャが顔が小さくて手足がものすごく長く、美人で、とても美しかったです。


「マノン」
コジョカル、コボー
ニューヨーク・シティー・バレエからアシュレイ・ボウダー、ホアキン・デ・ルスが『タランテーラ』手にタンバリンを持ってたたきながら踊る振付です。

ベルリン国立バレエ団からロナルド・サフコービッチのソロ、『H2O』。

英国ロイヤルバレエ団からアリーナ・コジョカル、ヨハン・コボーが、『フットノート』。2人がじゃれて遊んでいるような踊りです。面白い振付でした。可憐な感じです。


キーロフバレエ団からオレーシャ・ノヴィコワ、レオニード・サラファーノフが、『ドン・キホーテ』パ・ド・ドゥ。メリハリがあり、とても安定感のある踊りです。

 そして最後は全員で『ディフィレ』フィナーレで、全員が一人一人、大技を披露していきました。


チャイニーズ・ニュー・イヤー・スペクタクラー

 2月15日は旧正月で、中国での新年にあたるので、ntdtvが主催で、「チャイニーズ・ニュー・イヤー・スペクタクラー」が、ラジオ・シティー・ホールで行われました。街中にポスターが貼られていたので、どんなものかと思い、観に行きました。

衣装が豪華絢爛で、キンキラキンで、中国らしかったです。舞台後ろの大きなスクリーンに映像も映していました。映像で空から天女たちが降りてくるシーンから始まり、人が出てきて踊り始めました。

中国語の歌(なぜかオペラ歌手)が交互に出てきて歌を歌ったり、日本の紅白歌合戦のような国民的な催しなのかなと感じました。
 踊りはありますが、ダンスとして難易度の高いものを見せる種類のものではなかったです。もっと、中国雑技団のようなものが出てくるのかなと期待していましたが、とてもソフトな踊りでした。おめでたいお祝いの空気を味わえました。


※写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。
 

 

Copyright チャコット株式会社 All Rights Reserved.  
当サイトに掲載されている情報の無断転載、無断掲載、無断引用 はお断り致します。